2020 Fiscal Year Annual Research Report
過去はどこまで今を制約するのか:海洋島陸貝群集をモデルとして
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18H02506
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 聡 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (10236812)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進化 / 種分化 / 島嶼生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
小笠原と大東諸島を含む琉球列島、さらに伊豆諸島の陸産貝類種群について、遺伝的変異の地理的パターンの解明や系統推定を行うことができた。コロナの影響のため、十分なフィールド調査はできなかったものの、昨年度に収集した資料を用いて、解析を進めることができた。その結果、小笠原諸島と伊豆諸島において、遺伝的にユニークなナメクジ類の系統を見出した。これらのグループは多数の同胞種を含むと考えられ、従来の分類に再検討をせまるとともに、海流分散が不可能と考えられていた本グループの性質について再考を迫るものとなった。 小笠原の陸産貝類種群のうち、カタマイマイ類についてマイクロサテライトDNAの分析を行い、過去の集団サイズの変遷や、現在の地理的変異パターンの形成過程を推定した。その結果、父島の種は1万年前以前には集団サイズが減少していたが、その後増加に転じ、近年になっておそらく人為的な環境かく乱により急激に減少するという歴史的な変化をたどったことが推定された。これは化石記録から推定される個体密度の変化のパターンと整合的であった。 カタマイマイ類のニッチ推定のために、食性把握を目的とした糞のDNA分析を行った。その結果、休眠時に住み場所として利用している樹種は餌としては利用しておらず、それ以外の落葉や、おそらく夜間の活動中に訪れている樹種が、餌として検出された。このことは住み場所の樹種を、乾燥や捕食から免れるためのシェルターとして利用しているという仮説を支持するものである。カタマイマイ類の多様化は、餌の分化よりも、住み場所の構造への適応の結果と考えることができる。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)