2018 Fiscal Year Annual Research Report
Speciation process by a "magic trait" and a new speciation theory
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18H02509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細 将貴 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80557695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土松 隆志 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (60740107)
山道 真人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (70734804)
山崎 曜 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 博士研究員 (40816021)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 種分化 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、適応と生殖隔離の両方に作用する「魔法形質」としてすぐれて単純な機構であるカタツムリの巻型の進化を、分子生態学的アプローチと数理生物学的アプローチによって深く追究することを目的とする。これまでに、台湾南東部において実施した広域の細密サンプリングによって収集した約1500サンプルに対し、ゲノムワイドなSNPジェノタイピング手法であるMIG-seq法によって膨大なシーケンスデータを取得している。また、共同研究によって進めてきたde novoアセンブリーが完了したことを受け、そのドラフトゲノムに対してマッピングをおこない、多数のSNPデータを得ることができた。このSNPデータに対し、集団遺伝学的な解析を実施した結果、一部についてサンプルの取り違えの疑われる例が見つかり、全サンプルをフィールドノートと標本から総点検する必要が生じた。これに時間がかかり、進展にやや遅れが生じたものの、無事リカバリすることができた。そして本解析の結果、左巻きの種がやはり著しく多系統的であること、交雑あるいは祖先多型により、右巻きと左巻きの系統が入り交じる事例が、系統樹上に少なくとも4つあることがあきらかになった。今後は、これらの集団からサンプルを選択し、リシーケンスデータの解析を進めていく予定である。なお、この解析に際し、研究分担者らとミーティングを開いて解析方針について入念な検討をおこなった。今後の解析に関しても、再度共同で検討を進めていく必要を感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルの取り違えの疑われる例があったため、確認のために長い時間を要した。また、de novoアセンブリーの完了が遅れたことから、解析のスケジュールに遅延が生じている。しかしながらこれらの遅延は想定内であり、進展の障害になるとまでは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
集団遺伝学的な解析の結果から、31集団を選び、それらの試料に対し、超並列シーケンサーNovaSeq 6000を使用して15xカバレッジのリシーケンスデータを取得する。de novoアセンブリーをレファレンスとして、フリーソフトbowtie2 を用いて各試料から得た配列情報をマッピングする。平行進化を起こした左巻き系統群の一部は、同一の左巻きアリルを共有していると考えられることから、その仮定のもと、相関による原因遺伝子の特定(ゲノムスキャンおよび全ゲノム関連解析)をおこなう。
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