2019 Fiscal Year Annual Research Report
Function of vocal-auditory mirror neuron for vocal learning in songbirds
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18H02520
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和多 和宏 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70451408)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発声学習 / 学習臨界期 / 大脳基底核 / 時系列制御 / ソングバード / AAV / 運動制御 / 投射ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、十分に理解が進んでいないミラーニューロンの学習・認知行動における神経機能を個体レベルで明らかにすることである。そのために、霊長類以外でミラーニューロンが見つかっている鳴禽類ソングバードの音声-聴覚ミラーニューロン大脳皮質-基底核投射HVC(X)神経細胞に着目した。当該年度の研究では,この大脳皮質-基底核投射神経細胞の機能を明らかにすべく、細胞死(アポトーシス)を人工的に誘導することができるタンパク質をこの神経細胞だけに出して選択的にこの細胞タイルを除去した。このために、ソングバード脳においても逆行性感染能力をもつアデノ随伴ウイルスを開発した。その結果、キンカチョウの発声学習前の若鳥のときにこのHVC(X)神経細胞をなくすと、その後の歌学習がうまくできず、歌の音響特性、及び音素時系列配列の制御に異常が起こり、成鳥になってもキンカチョウ本来の歌パターンでさえずりができないようになった。これに対して、歌学習後の成鳥時から大脳皮質-基底核投射神経細胞をなくすと、学習した歌パターンに変化もなく、またその後聴覚剥奪後の歌の変化も正常個体と同じように起こることが分かった。これらの結果は、大脳皮質-基底核投射HVC(X)神経細胞は、発声学習状態によってその神経回路機能への貢献度が異なっており、発声学習時に時間情報を基底核に送っている可能性が考えられる。今回比較的歌構造が定型的なキンカチョウで得られた結果が、より複雑な歌構造をもつ他の鳥種で同様のことが起こっているのか明らかにすべく現在研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した実験・解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
鳴禽類ソングバードの大脳皮質-基底核投射神経HVC(X)細胞の発声パターン制御機能をさらに明らかにすべく、キンカチョウよりもさらに複雑な歌を生成するジュウシマツ成鳥において当該年と同様の細胞死誘導実験を行い、音声-聴覚ミラーニューロン機能の検証を進める。
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