2018 Fiscal Year Annual Research Report
高次嗅覚中枢における匂い嗜好の情報処理と回路メカニズム
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18H02532
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
風間 北斗 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (90546574)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 嗅覚情報処理 / イメージング / パッチクランプ法 / 光遺伝学 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、少数の細胞で構成され、ほ乳類と類似した構造や機能を備えるショウジョウバエ成虫の嗅覚回路に着目し、匂い嗜好の決定に重要とされる二次嗅覚中枢である側角における情報処理様式を解明することを目指す。具体的には、一次嗅覚中枢及び側角のほぼ全ての細胞群から匂い応答を記録し比較することで、側角でどのような情報変換が起こるかを明らかにする。特に、これまでの研究で我々が作成したモデルが示す、快いあるいは不快な匂いカテゴリ特異的に応答する側角細胞が存在するという仮説を検証する。さらに、側角細胞の匂い応答を生成するシナプスと回路のメカニズムを、光遺伝学と電気生理学を用いて解明する。 側角の大半の細胞から活動を記録するために、カルシウムイメージングを用いるが、本年度は目的により適合したカルシウム指示薬の選定を行った。これまでは、GCaMP6fを用いてきたが、より低頻度の発火を検出できるGCaMP7fと7s、励起と蛍光がより長波長にシフトしたjRGECO1a、レシオ型で振動によるアーチファクトに強いYCXシリーズを試し、匂い応答の計測を開始している。 また、光遺伝学を用いて一次嗅覚中枢に属する特定の細胞を興奮させ、それに対する側角細胞の応答を電気生理学的手法(パッチクランプ法)で取得する実験に関しては、光刺激の強度、パスル幅、プローブの発現レベルなどを調節し、二光子励起によって効率良く刺激が出来るパラメータの選定を行った。また、微小な側角細胞から高確率で記録が出来るようパッチクランプ法の改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルシウムイメージングに関しては、様々なカルシウム指示薬を発現する遺伝子改変系統の樹立のための掛け合わせが完了し、各種指示薬の性能を評価する段階まで到達し、側角細胞の応答を生成するシナプスと回路のメカニズム解明に向けた実験に関しては、光遺伝学を用いて効率良く二光子励起で入力細胞を光刺激できるパラメータの選定と、側角細胞の性質に合わせたパッチクランプ法の改良が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、カルシウムイメージングを用いて側角のほぼ全ての細胞群から匂い応答を計測し、さらにデータ解析のアルゴリズムを構築することで、側角でどのような計算が行われているかを分析する。また、光遺伝学とパッチクランプ法を組み合わせた実験を進捗させ、一次嗅覚中枢の細胞と側角細胞の機能的配線図を作成する。
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