2019 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質視覚系の機能局在に必要な領野間神経結合の経験依存的発達
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18H02547
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
吉村 由美子 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 教授 (10291907)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大脳皮質視覚野 / 領域間神経結合 / 形態視 / 運動視 / 経験依存的発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、カルシウムセンサー蛋白を視覚関連領域の興奮性ニューロンにのみ発現させる条件を確定し、覚醒マウスにおける一次視覚野および二次視覚野ALとPM領域の視覚反応を、マクロイメージングにより経時的に計測する実験系を確立した。本年度は2光子励起カルシウムイメージングを用いて細胞レベルで解析できるように実験系を最適化した。発達期マウス視覚関連領域の各層において興奮性ニューロン特異的にカルシウムセンサー蛋白を発現させる条件を確定し、2光子励起顕微鏡により視覚野の全層にある興奮性ニューロンの視覚反応を網羅的に記録できる条件を確立した。さらに、同一の一次視覚野興奮性ニューロンの視覚反応を経時的に記録し、その発達過程の解析を行った。また、形態視遮断あるいは片眼遮蔽を発達期マウスに施し、興奮性ニューロンの視覚反応を変化を調べた。ごく短期間の片眼遮蔽により、両眼反応領域の遮蔽した眼に対する視覚刺激応答が弱化し、眼優位性シフトが起こることを確認した。一方、発達期の両眼遮蔽により興奮性ニューロンの最適空間周波数が低空間周波数にシフトするには、眼優位可塑性に比べて長い期間の視覚入力遮断が必要であった。これらの結果は、一次視覚野の可塑性の誘導に必要な環境操作の期間は、誘発される可塑的変化によって異なることを示す。興奮性ニューロンには様々なサブタイプが存在するので、それらサブタイプ依存的な可塑性についての検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、発達期のマウスにおいて覚醒下で大脳皮質の全層にある個々の興奮性ニューロンから視覚反応を慢性的にイメージングする系を確立した。また、誘導される可塑性によって、視覚操作の期間が異なることを見出した。この実験系の確立と得られた成果から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上述の技術を利用して、発達過程や視覚環境操作によって視覚反応がどのように変化するかを細胞サブタイプごとに明らかにする。さらに、経験依存的な視覚機能の強化・弱化を経時的に追いかけることで、履歴を踏まえながら可塑的変化を明らかにする。また、反応が顕著に変化した脳領域や層においては、その神経細胞を標識し、神経回路の解析を行う予定である。
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[Journal Article] Hypothalamic neuronal circuits regulating hunger-induced taste modification.2019
Author(s)
Fu, O., Iwai, Y., Narukawa, M., Ishikawa, A.W., Ishii, K.K., Murata, K., Yoshimura, Y., Touhara, K., Misaka, T., Minokoshi, Y. & Nakajima, K.I.
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 10(1)
Pages: 4560
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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