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2020 Fiscal Year Annual Research Report

アディポカイン制御因子の解明に基づく動脈硬化診断法の開発

Research Project

Project/Area Number 18H02731
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

木原 進士  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20332736)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山本 浩靖  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00631201)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords蛋白質 / 生体分子 / 分析科学 / 細胞・組織 / 医療・福祉
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、新規アディポカイン制御因子(AKRF)を同定し、アディポネクチンやオメンチンとAKRFとの複合体による動脈硬化発症機序を明らかにすると共に、複合体測定による動脈硬化の診断法と、AKRFをターゲットとした治療法の開発につなげることを目的とする。

2020年度は、AKRFとして同定したアポリポ蛋E (アポE) の脂質代謝における意義を明らかにした。アポEは動脈硬化惹起性であるレムナントリポ蛋白の肝細胞への取り込みに関与するが、我々はアディポネクチンがこの取り込みを増強する作用を持つことを発見した(論文投稿中)。メタボリックシンドロームにおける高中性脂肪血症の発症機序は十分に明らかでなかったが、本研究によって、肥満で生じる低アディポネクチン血症がアポEを介したレムナントリポ蛋白の代謝を低下させるという新たな機序が明らかとなった。またアポEにはE2、E3、E4の3つのアイソフォームがあり、E2ホモ接合体に後天性因子が加わってⅢ型高脂血症を発症すると考えられてきたが、この後天性因子が低アディポネクチン血症であることが推察された。

また、新たなAKRF としてWnt受容体であるFrizzled-2 (FZD2)を同定した。Mycタグを付加したアディポネクチン(myc-APN)とFLAG タグを付加したFZD2 (FLAG-FZD2)を発現させたHEK293細胞溶解液を抗myc 抗体で免疫沈降するとFLAG-FZD2はmyc-APNに共沈し、抗FLAG抗体で免疫沈降するとmyc-APNがFLAG-FZD2に共沈することから、両者の特異的な結合を確認した。APNがWntシグナルを抑制すれば、新たな動脈硬化機序解明につながると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

昨年度は、AKRFとして同定したアポリポ蛋E (アポE) の脂質代謝における意義を明らかにした。アポEは動脈硬化惹起性であるレムナントリポ蛋白の肝細胞への取り込みに関与するが、我々はアディポネクチンがこの取り込みを増強する作用を持つことを発見した。メタボリックシンドロームにおける高中性脂肪血症の発症機序は十分に明らかでなかったが、本研究によって、低アディポネクチン血症によるアポEを介したレムナントリポ蛋白の代謝の低下という新たな機序が明らかとなった。またアポEにはE2、E3、E4の3つのアイソフォームがあり、E2ホモ接合体に後天性因子が加わってⅢ型高脂血症を発症すると考えられてきたが、この後天性因子が低アディポネクチン血症であることが推察された(論文投稿中)。

しかし、アディポネクチン- Mac2 Binding Protein (M2BP)複合体を認識するモノクローナル抗体の作製がおくれている。昨年度に作製した抗体を検出抗体として構築したELISA系で免疫沈降とウエスタンブロットで半定量したアディポネクチン-M2BP複合体を検出できなかったことから、モノクローナル抗体がいずれも多量体に特異的な構造を認識していなかったと考えられ、引き続き作製中である。

Strategy for Future Research Activity

今年度も、ヒト血清や培養細胞から免疫沈降と質量分析を用いたアディポカイン制御因子(AKRF)の同定を行う。並行してヒトゲノムデータベースを用いて新たに同定したAKRFに共通するアミノ酸配列を含むcDNAの検索も行う。動脈硬化との関連が推察される分泌蛋白や受容体だけではなく機能が未知の分子も候補として蛋白を発現させ、in vitroの系でアディポネクチンやオメンチンとの特異的な結合が確認されたものをAKRFとする。そして、複合体測定系の開発と臨床意義の解明、動脈硬化モデルにおける機能解析を行う。冠動脈疾患で血中濃度が増加することを見出したアディポネクチン- M2BP複合体を定量的に測定するELISA系の構築も、引き続き行う。

昨年度にAKRFとして同定したFrizzled-2 (FZD2)に関しては、ファミリーを形成するFZD1‐10とアディポネクチンとの結合の有無から、結合部位を検討する。FZDファミリーはWnt受容体として良く知られており、Wnt3aはβカテニン経路を介して単球接着に関与し、Wnt5aはJun amino terminal kinase (JNK)シグナルを介して炎症に関与することが知られている。従って、アディポネクチンがWnt受容体であるFZDファミリーと結合してこれらのシグナルを減弱させれば、新たな動脈硬化抑制機構の解明につながると考えられる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Regulation of hepatic oxidative stress by voltage-gated proton channels (Hv1/VSOP) in Kupffer cells and its potential relationship with glucose metabolism.2020

    • Author(s)
      Kawai T, Kayama K, Tatsumi S, Akter S, Miyawaki N, Okochi Y, Abe M, Sakimura K, Yamamoto H, Kihara S, Okamura Y.
    • Journal Title

      FASEB J.

      Volume: 34(12) Pages: 15805-15821

    • DOI

      10.1096/fj.202001056RRR.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Acquired marked hypertriglyceridemia with anti‐GPIHBP1 antibodies2020

    • Author(s)
      Imai Minami、Yamamoto Hiroyasu、Hashimoto Teppei、Koyama Hidenori、Kihara Shinji
    • Journal Title

      Pediatrics International

      Volume: 62 Pages: 651~653

    • DOI

      10.1111/ped.14154

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 自己免疫性高中性脂肪血症の小児2症例2020

    • Author(s)
      山本浩靖、今井みなみ、小山英則、木原進士
    • Organizer
      第52回日本動脈硬化学会総会・学術集会
  • [Presentation] マイオカインβ-aminoisobutyric acidによる抗動脈硬化作用2020

    • Author(s)
      山本浩靖、田中祐哉、澤田美穂、木原進士
    • Organizer
      第52回日本動脈硬化学会総会・学術集会
  • [Presentation] 血管内皮傷害におけるミネラロコルチコイド受容体の意義2020

    • Author(s)
      吉田奈央 山本浩靖 木原進士
    • Organizer
      第67回 日本臨床検査医学会学術集会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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