2020 Fiscal Year Annual Research Report
Excitatory Inhibitory Imbalance in Treatment-resistant Schizophrenia: TMS-EEG+MRS study
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18H02755
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 振一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
野田 賀大 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (20807226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 治療抵抗性統合失調症 / グルタミン酸 / GABA / TMS-EEG / MRS |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID19による被験者組み入れの遅れを取り戻すために、慶應義塾大学病院だけでなく関連病院の協力を得て、順調に被験者のリクルートを進めている。現時点で、本研究の検査であるマルチモーダルMRIやTMS-EEG法に関する有害事象、実施計画書からの逸脱は認められていない。また脱落例も認められておらず、本研究における研究全体の基本的な手順は遵守されていると判断する。
予備解析では、治療抵抗性統合失調症におけるMRSで計測したグルタミン酸濃度とGABA濃度の増加を認め、聴性定常反応EEGで計測した興奮抑制バランスの障害も認めた。今後、被験者を最終目標まで増やし、TMS誘発脳波によるGABA(A)受容体介在性神経生理機能およびグルタミン酸NMDA受容体介在性神経生理機の指標の解析も行なっていく。
論文としては、機械学習を用いてMRI構造画像による統合失調症の治療反応予測をおこなったもの(Itahashi et al. Neuroimage Clin)と多変量解析を用いてMRIのT1構造画像指標とDTI白質構造指標による前帯状回の区分を行いグルタミン酸毒性との関係を検証したもの(Ochi et al. Journal of Psychiatry and Neuroscience)を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に被験者のリクルートを進めており、有害事象、実施計画書からの逸脱は認められていない。 TMS誘発脳波研究の実験系を確立し、その後、TMS誘発脳波の解析パイプラインを確立し、各指標を定量化することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、被験者の組み入れを進め、臨床評価、TMS-EEG測定、MRI撮像、採血を行っていく。TMS-EEG研究に関しては、統合失調症群、健常群の計測と解析を進め、それぞれの群間比較を行う予定である。MRSデータについてもGABAおよびGlxについてそれぞれの群で解析し、群間比較およびTMS-EEG神経生理指標の関係について解析する予定である。さらに、トリプトファン・キヌレニン系や脂肪酸系に焦点を当てて、メタボロミクス解析を行う。 疾患横断的に、精神疾患への興奮・抑制不均衡の意義を解明するために、多変量解析(multivariate analysis)を習得する。多変量解析の長所として、従来の単変量解析(univariate analysis)とは異なり複数の変数を同時に統計に用いる。精神疾患の各症状は互いに相関するため、変数の共通の分散を取得し統計に用いることで変数間の変動パターンを考察 することが可能になる。部分的最小二乗回帰法(partial least square: PLS)は、2つのデータセットからそれぞれに対する共分散が最大になるような潜在変数(latent variable: LV)を特異値分解(singular value decomposition: SVD)によって取得し、LV に対するデータセット内変数の貢献度から、データセット間の変数の変動パターンの関連を調べることができる解析法である。また、非負値行列因子分解(non-negative matrix factorization:NMF) は、非負値行列(全ての数値が 0 以上をとる行列)を他の 2 つの非負値行列に分解するアルゴリズムであり、元の行列の持つ潜在 的な要素を従来の手法と比べてより明確に表現することが可能である。これらを用いて、疾患横断的な症状や治療抵抗性に関わる、変数の変動パターンを特定することを目的とした解析を行う。
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Research Products
(19 results)