2019 Fiscal Year Annual Research Report
高LET放射線と抗VEGF抗体の併用によるグリオーマ幹細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
18H02770
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 正俊 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50251111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小此木 範之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 医長(定常) (00750572)
大野 達也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10344061)
若月 優 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院, 部長(定常) (40399449)
三浦 幸子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60597095)
森 英一朗 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70803659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高LET放射線 / 抗VEGF抗体 / 神経膠腫 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
In vivoでの検討:p53野生型の上衣芽腫をヌードマウス(BALB/c nu/nu)に移植して、以下①~⑥の6群で1)2)の実験を実施した。 ①:重粒子線照射(単独)群:炭素イオン線:290 MeV/u、6 cm-SOBP(NIRS) 2Gy ②:X線照射(単独)群:150kV: 20mA(Hitachi) 2Gy ③:抗VEGF抗体(単独)群:抗VEGF抗体bevacizumab 20mg/kg ④:①重粒子線と③抗VEGF抗体(併用)群 ⑤:②X線と③抗VEGF抗体(併用)群 ⑥対照群 1)増殖遅延評価:腫瘍径計測で倍加時間を算出して、増殖遅延を検討;③抗VEGF抗体単独では顕著な増殖遅延を認めず、②X線、①炭素線では有意な増殖遅延を認めた。④抗VEGF抗体併用炭素線では、炭素線単独に比して遅延の増強傾向が示唆されたが有意差は認めなかった。 2)DNAマイクロアレイ解析:腫瘍組織の一部を上記の6、48時間後に摘出,RNA安定液に浸透後,total RNA抽出,GeneChip解析(Human Genome U133 Plus 2.0 Array)を実施;③VEGF抗体単独での遺伝子発現変動は軽微であった。①炭素線、②X線では顕著な遺伝子発現変動が見られ、①と②ではやや異なる傾向が見られた。①と④、②と⑤、それぞれの比較では顕著な変化は認めなかった。 In vitroでの検討:高LETの炭素イオン線との比較検討の為、悪性神経膠腫株(U-251 MG:VEGF産生を確認済)に低LETのX線 0~12Gy、陽子線(ワブラー法、スキャニング法) 0~10Gyの照射を行い、コロニー形成法で生存率、生存曲線を比較検討して、陽子線の生物学的効果比(RBE)を算出;D50, D10, D0の比較で算出したRBEは1.18~1.59の範囲で、ワブラーとスキャニングに有意差は認めなかった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高LETの炭素イオン線と抗VEGF抗体併用の影響について、in vivoで炭素線、X線、抗VEGF抗体等と比較して、増殖遅延、DNAマイクロアレイ解析を実施し、それぞれデータが得られている。また、VEGF産生神経膠腫に対するX線照射、抗VEGF抗体の影響をin vitroで確認後、陽子線の異なる照射法であるワブラー法とスキャニング法で生物学的効果比の検討も実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、高LET放射線である炭素イオン線と抗VEGF抗体bevacizumabの併用効果について、顕著ではないが、炭素イオン線単独と比較して、増殖遅延や種々の遺伝子発現に変化が生じている可能性が示唆されたので、発現変動の見られる遺伝子群のpathway解析、幹細胞、幹細胞マーカー等の変動、その他の解析を行って、幹細胞、細胞死、細胞生存、DNA修復、その他の関与についての検討を進める計画である。ただし、新型コロナの影響で他施設における高LET照射実験の継続が可能かどうかが重要な課題である。なお、低LET放射線と高LET放射線の比較についてもさらに検討を進める計画である。
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