2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the core technologies of regenerative therapy with human somatic stem cells for cirrhosis and liver failure
Project/Area Number |
18H02866
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鄭 允文 筑波大学, 医学医療系, 客員研究員 (80404995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 信弘 筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (40213673)
高井 まどか 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40287975)
高橋 一広 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80794528)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オルガノイド / 細胞移植 / 肝不全 / ヒト体性幹細胞 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
羊膜幹細胞(ASC), 間葉系幹細胞(MSC), 血管内皮前駆細胞(EPC), 造血幹細胞(HSC)の単離を行った。ASCにおいて、未分化マーカーの広い発現を確認した。また、Tra1-60やTra1-81などの未分化マーカーは、一部の細胞でのみ発現していた。ASCのRNAシークエンスによる網羅的発現解析によって、ASCとES細胞、あるいはASCと肝細胞に共通する遺伝子発現も複数発見された。羊膜については肝分化能や肝細胞との類似性の報告はあるものの、網羅的な解析が行われたことがなく、この結果は肝分化誘導の基礎となるものである。続いて、機能的な肝オルガノイドの作成を行った。特殊な3DパターンプレートにASCを播種することで、細胞は球状のスフェロイドとなり、生存を保ちつつ細胞の増殖スピードを抑え、長期培養可能であることが確認された。作成した細胞塊は、再度2Dプレートに播種することで、活発に増殖することを確認した。細胞培養による肝分化プロトコルには複数の報告があり、上述の3D培養と組み合わせてその肝分化効率を検討した。特にEGFとDexamethasoneを組み合わせた分化プロトコルにおいて、肝遺伝子発現の上昇が最も効率的に生じることが確認された。 移植実験に関しては、免疫不全ラットに対して、ヒト肝細胞が移植可能な実験系を確立した。まずは初代ヒト肝細胞(PHH)を用いて、肝障害誘導下のラットへの移植モデルを確立した。同実験モデルにおいて、ヒト肝細胞に由来するアルブミンや薬物代謝機能がみられることを確認した。引き続いて、新たな移植細胞源として、iPSCから誘導した肝前駆細胞においても同様の移植プロトコルで、移植の効果を検証した。 またヒト-ラットの異種拒絶に関しては、マクロファージを一時的に除去することにより、血球の生着を得られる可能性があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ASCの特性解析は完了し、肝オルガノイドの作成はできているが、vivoでの機能発現を確認することができていなかった。そこで、まずは初代ヒト肝細胞(PHH)を用いて、肝障害誘導下のラットへの移植モデルを確立した。しかし、PHHは、培養には適しておらず、より移植に使いやすい移植細胞源として、iPSCから誘導した肝前駆細胞を検証した。PHHのみならず、iPSC由来肝前駆細胞においても、肝臓での持続的な細胞増殖と、ヒトアルブミンを検出することができた。また、移植効率を最大化することを目的として、異種移植モデルにおける免疫学的バリアについても評価した。マクロファージが異種細胞を早期から積極的に貪食することを確認した。拒絶反応の制御効果の高いと考えられるhSIRPa遺伝子組み換えラット作成にも着手しているが、免疫不全形質との交配により移植用のラットを樹立することにも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
肝細胞移植モデルが確立できており、同モデルを用いて、iPS細胞由来肝様細胞、胎盤由来幹細胞から作成した肝オルガノイド、初代肝細胞から誘導した肝前駆細胞など、様々な細胞の移植実験を試み、肝機能を評価する。また、ヒト特異的な肝細胞の機能評価について、薬物代謝実験によって評価を行う。また、ヒト-ラット拒絶の因子としてマクロファージの影響が考えられているため、同反応を克服するためのhSIRPa遺伝子組み換えラットの作成を試みている。同形質を持ったラットを重症免疫不全ラットと交配し、更に移植効率の高いラットモデルを作成する。
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