2019 Fiscal Year Annual Research Report
HMGB1致死性画分を標的とした新規敗血症治療戦略の構築
Project/Area Number |
18H02904
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (20381171)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
垣花 泰之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20264426)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 敗血症 / メディエーター / 抗体 / HMGB1 / DAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症病態において、細胞外に放出された核内タンパク質 high mobility group box 1 (HMGB1) は、遠隔臓器障害を引き起こす「致死性因子」として作用する。その一方で、HMGB1 には組織修復を促す「生体防御因子」としての側面もあるため、HMGB1 をひとくくりに捉えても、鋭敏な予後予測因子、理想的な治療標的分子とはなりえなかった。その後の研究で、HMGB1 にはサブタイプがあり、組織修復を促すものと、全身性炎症を惹起して遠隔臓器障害を引き起こすものとでは、異なる構造を取っていることが明らかになった。本研究の目的は、HMGB1 を認識する抗体の中からサブタイプ特異的抗体を選別することで、より生命予後を反映しうる新規検査法の開発につなげるとともに、より救命効果が期待できる新規治療戦略の構築につなげることである。初年度には、1000を超える抗 HMGB1 抗体候補の中から特定の HMGB1 サブタイプを選択的に認識する抗体をスクリーニングし、機能解析に必要な量の抗体を確保することに成功した。二年目には、これらの候補抗体のHMGB1サブタイプに対する特異性や、救命効果、新規検査法としての応用可能性を検討した。部分酸化型HMGB1への選択性が高い抗体をその第一候補として動物実験を実施した結果、従来の抗HMGB1抗体と比較して優位な救命効果を発揮するには至らなかった。また、新規検査法に応用するだけの反応性と特異性を示すには至らなかった。次に、HMGB1の特定の配列にのみ特異的に反応する抗体を第二候補として検討した結果、予備検討において、従来の抗HMGB1抗体よりも救命効果に優れる傾向を示した。HMGB1の致死性に関連する抗体として、新規検査法の構築にも応用できると考えられ、この抗体の救命効果と新規検査法としての応用可能性を三年目に検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、抗HMGB1抗体候補の中から特定のHMGB1サブタイプを選択的に認識する抗体をスクリーニングし、機能解析に必要な量の抗体を確保した。二年目となる本年度は、抗体の機能評価、特に、HMGB1サブタイプに対する特異性や、救命効果、新規検査法としての応用可能性を検討した。部分酸化型HMGB1への選択性が高い抗体をその第一候補として動物実験を実施した結果、従来の抗HMGB1抗体と比較して優位な救命効果を発揮するには至らなかった。また、新規検査法に応用するだけの反応性と特異性を示すには至らなかった。次に、HMGB1の特定の配列にのみ特異的に作用する抗体を第二候補として検討した結果、予備検討において、従来の抗HMGB1抗体よりも救命効果に優れる傾向を示した。HMGB1の致死性に関連する抗体として、新規検査法の構築にも応用できると考えられ、この抗体の救命効果と新規検査法としての応用可能性を来年度に検証していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
二年目に実施した予備検討において、HMGB1の特定の配列にのみ特異的に作用する抗体は、従来の抗HMGB1抗体よりも救命効果に優れる傾向を示し、新規検査法の構築にも応用できると考えられた。三年目となる最終年度においては、この候補抗体の救命効果を敗血症モデルマウスを用いて検証するとともに、新規検査法の構築に向けての基礎データを積み重ねる。また、臨床研究として、敗血症患者の血漿検体の解析も同時に進めていく。
|
Research Products
(9 results)