2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel synthesizing treatment strategy by exhaustive research on temporal bone squamous cell carcinoma
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18H02951
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 尚志 九州大学, 医学研究院, 教授 (70274470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安松 隆治 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00444787)
若崎 高裕 九州大学, 大学病院, 助教 (10608871)
鍋島 一樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40189189)
松本 希 九州大学, 大学病院, 講師 (60419596)
安井 徹郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60803468)
小宗 徳孝 九州大学, 大学病院, 助教 (80529884)
内 龍太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (80780840)
古後 龍之介 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90529885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外耳道癌 / 側頭骨 / 扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次世代シークエンサーを使った側頭骨扁平上皮癌の遺伝子解析(whole exome sequence)により、世界で初めて、側頭骨扁平上皮癌のgenetic landscapeをCancer Scienceに報告した。10症例の患者から、初発側頭骨扁平上皮癌11検体および再発側頭骨扁平上皮癌1検体、そして、正常皮膚10検体を比較解析した結果、頻度の高い遺伝子変異は、TP53 (63.6%)が最も多く、CDKN2A、NOTCH1、NOTCH2、FAT1そしてFAT3の遺伝子変異が複数検体に見られた。また、ZDHHC11BおよびTARP遺伝子の増幅も確認でき、免疫染色でも発現が確認できた。これらの分子の臨床的意義は、今後詳細に検証していく必要があると思われる。今回の側頭骨扁平上皮癌患者のDNAの網羅的解析からは、側頭骨扁平上皮癌も他の頭頸部扁平上皮癌によく似た遺伝子変異を有していることがわかった。 基礎実験と並行して臨床データの解析も行った。当院で治療強度が十分な初回治療介入が行えた(再発症例は除く)側頭骨扁平上皮癌の71症例を検討した。その結果、T1-T3症例までは、5年疾患特異的生存率は、非常に高く、それぞれ、T1: 100%, T2: 92%, T3: 86%であることがわかった。これまで進行癌であるT3は予後不良と言われてきたが、十分な初回治療が行えた場合は予後は比較的良好であることが判明した。進行癌のうちT4症例は、51%と生存率が極端に低くかった。本解析の中で、過去に予後不良因子と言われていた中耳進展は、当院での症例解析の結果では予後不良因子とは断定できなかった。本解析により、予後不良に影響する因子としては、T4症例、断端陽性切除であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年9月、2019年10月1日に研究の遂行状況を確認するミーティングを行ったところ、当初の想定に反して、解析検体数の不足により、RNAシークエンス解析が十分に行えていないことが判明した(抽出核酸のクオリティーの問題により、提出した検体のうち解析に回せない症例が出てきたため)。研究遂行上、十分な解析検体数の確保が不可欠なため、RNAシークエンスの解析を延期して実施する必要が生じた。そのため、1年の延長申請を行った。その結果、今後のRNAseq解析に必要な検体の収集が行えた。よって、現在、データを解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基礎研究面ではRNAseq詳細な解析を行っていく方針である。RNAseqの解析により、側頭骨扁平上皮癌での遺伝子発現プロファイルを他の頭頸部癌と比較して検討していく予定である。トランスクリプトーム解析により、側頭骨扁平上皮癌特有の遺伝子発現の同定を試みていく。また、この解析により同定された発癌に関連する遺伝子は、免疫組織学的解析でも確認した上で、臨床像との相関を確認していく予定である。また、今後同定される可能性のある側頭骨扁平上皮癌特異的な遺伝子の機能解析を行う上でも、ヒト由来の側頭骨扁平上皮癌細胞株の樹立を継続的に行っていきたい。
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Research Products
(4 results)