2018 Fiscal Year Annual Research Report
トランスクリプトーム解析に基づく歯の運命決定因子の同定とその応用
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18H03012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉崎 恵悟 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10507982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 敏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30264253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯 / 再生医学 / 発現解析 / CAGE / 咬頭形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、トランスクリプトーム解析を用いて、歯の運命決定因子および歯の形態形成に重要な因子の同定を目的としている。 本年度は、マウスより採取した歯、毛、唾液腺など上皮ー間葉相互作用により形成される器官と胎仔全体をCAGE (Cap analysis of gene expression)法を用いて解析することで、それぞれの器官特異的な転写開始点および、様々な器官に共通して発現する転写開始点の同定に成功した。これら転写開始点より転写される因子として、本年度は歯の形態形成に関わると思われるホメオボックス転写因子Nkx2-3の機能解析を行った。Nkx2-3は歯および唾液腺に強く発現し、発生初期の形態形成期に強い発現を認めた。本因子は上皮細胞、特に歯の咬頭形成に重要とされるenamel knotに局在し、細胞増殖抑制因子であるp21の発現を制御している可能性を発見した。そこで、ChIP assay およびLuciferase assay により転写活性を調べてみると、p21の転写開始部位に結合し、転写制御を行っている可能性を見出した。さらに、外胚葉異形成症の原因因子として知られるEDA/EDARの異常は、歯において咬頭形成が阻害されることが知られている。そこで、歯原性上皮細胞株にEDAを添加すると、Nkx2-3の発現が上昇することを発見した。これら知見は、Nkx2-3がEDA/EDARシグナリングの下流で歯の形態形成に重要な役割を果たしていることを示し、Nkx2-3は歯胚咬頭上皮の細胞増殖を制御することで歯の咬頭形成を調節している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は歯の形態形成に関わる遺伝子のスクリーニングに成功し、機能を明らかにすることができたため、おおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングした歯の形成に関わる候補遺伝子の機能解析を進める。上皮ー間葉相互作用スクリーニングシステムを用いて、上皮ー間葉相互作用にかかわる遺伝子の同定を図る。
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