2019 Fiscal Year Annual Research Report
トランスクリプトーム解析に基づく歯の運命決定因子の同定とその応用
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18H03012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉崎 恵悟 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10507982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 敏 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30264253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯 / 再生医学 / 発現解析 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、トランスクリプトーム解析を用いて、歯の運命決定因子および歯の形態形成に重要な因子の同定を目的として研究を開始した。 本年度は、クロモゾーム15D1領域に存在する、歯に特異的な転写開始点に着目し、研究を行った。同転写開始点はmiR875またはmiR599の転写開始点と予測されたため、qRT-PCR法を用いて解析を行ったところ、同転写開始点はmiR875をコードしていることが判明した。miR875は、歯に非常に特異的で他の器官の発現は認められず、in situ hybridyzation 法により、特に歯の発生初期の間葉細胞に強い発現を示していることが判明した。そこで、歯原性間葉細胞株mDP細胞にmimic miR875を遺伝子導入し、機能解析を行った。mimic miR875を遺伝子導入した間葉細胞は上皮細胞への走行性を示し、migrationが活性化されていた。そのときの細胞増殖能に変化は認められなかった。細胞の移動はPDGFシグナリングにより制御されていること知られている。そこで、歯の発生初期におけるPDGFの発現を確認したところ、PDGFAAが歯の上皮細胞に、その受容体であるPDGFR-Aが歯の間葉細胞に発現していることがわかった。そこで、mimic miR875を遺伝子導入したmDP細胞をPDGF-AAにて刺激したところ、細胞遊走能の亢進が認められた。これらの結果から、歯の間葉細胞に特異的に発現するmiR875は、PDGFシグナリング経路を介して、上皮細胞への細胞遊走を亢進することで、上皮ー間葉相互作用に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、歯の形態形成に関わるあらたなmiRNAの同定に成功し、新規機能を解明できたため、概ね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングした葉の形成に関わる候補遺伝子の解明を図る。上皮ー間葉相互作用を歯をモデルとして可視化することで、新たな機能解明を図る。
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