2019 Fiscal Year Annual Research Report
継続的地域アセスメントモデルを用いた保健師の実践改善プログラムの構築
Project/Area Number |
18H03119
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
塩見 美抄 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (10362766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 京子 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (00708951)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プログラム開発 / 保健師 / 地域アセスメント / 実践改善 / 組織変革 / アクションリサーチ / モデル検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第1の目的は、継続的地域アセスメントモデルを用いて、地域ニーズのアセスメントと活動創出ができる保健師へと実践を組織的に改善するアクションリサーチを通じて、保健師の実践改善プログラムを構築することである。また、モデルを実践検証し、発展させることが第2の目的である。2年目にあたる令和元年度は、前年度構築したアクションリサーチプログラム案を実践組織において試行し、プログラム案とモデルの検証を行った。 1.プログラム案を志向する実践組織のリクルートと試行準備:アクションリサーチによるプログラムであり、ファシリテーターとなる研究者と実践者との関係構築が重要であることから、研究代表者が直接出向くことが出来る近畿圏の保健行政組織を対象にリクルートを行った。結果、2府県2保健所から協力の申し出が得られた。プログラムへの主体的参加を促すため、組織の保健師全員を対象に説明会を開催し、疑問や不安に答えた。 2.プログラム案の試行:1回90-120分×3回のミーティングと実践とで構成され、6か月間で保健師組織の地域アセスメントを発展させる実践改善プログラムを試行した。既存の尺度を用いた組織と個人のプログラム前後評価を行った。1回のミーティングに3名の研究者が参加し、ミーティング後にリフレクションの機会を持った。実践中に組織の長とのフォローアップ面談を行った。すべての場面を録音・メモにとり、研究データとした。 3.プログラム案とモデルの評価:試行の結果、最も改善したのは組織メンバー間での地域課題に関するコミュニケーションと合意形成であった。尺度を用いた組織や個人の評価結果に大きな変化はなかった。プログラム案の期間や時期の問題、保健師のみで地域アセスメントを行うことの限界性も明らかになった。モデルについては、個別事例から地域課題を捉える視点や統合的分析の方法など、表現しきれていない重要点がみえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、プログラム案の試行を完了することができた。 ただ、ファシリテート内容の分析による効果的な支援方策の明確化など、分析が不十分な点がいくつかあるため、2020年度の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2020年度は、前年度に実施したプログラム案試行の過程と結果を評価し、プログラムの再構築と実用化に向けた教材の開発を行う。 1)プログラム案試行の評価とプログラムの再構築: 研究班会議を通じて、前年度に実施したプログラム案試行の評価をし、実践改善を促すためのプログラムの構成、内容、媒体、ファシリテート、参加者個人及び組織の評価指標等の改善策を検討し、プログラムを再構築する。 2)プログラムの実用化のためのDVD教材の開発: 再構築したプログラムが全国の保健行政機関で広く活用されるため、プログラムの実用化をサポートするDVDを開発する。プログラムはミーティングと実践とで構成されており、DVDは主にミーティングの進行をガイドすることを想定している。また、プログラム実施のためのガイドラインや記録様式、評価指標等についても、DVDに同梱する。 3)研究成果の公表: 国際学会1件、国内学会3件の研究成果発表を行う。また、論文を3編発表する。加えて開発したDVDの普及啓発を図る。 4)継続的地域アセスメントモデルの精錬: プログラムの試行結果に基づき、モデルの妥当性について実践者や国内外の公衆衛生看護学の有識者と意見交換し、国際的に通用するモデルにするための精錬を図る。
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