2020 Fiscal Year Annual Research Report
身体スキル学習支援における局所的・大域的視点を結ぶサイバーフィジカル空間
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18H03344
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松浦 健二 徳島大学, 情報センター, 教授 (10363136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤田 中 香川大学, 創造工学部, 准教授 (40633095)
和田 智仁 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (70325819)
カルンガル スティフィンギディンシ 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (70380110)
谷岡 広樹 徳島大学, 情報センター, 講師 (90785106)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体スキル / サイバーフィジカル空間 / 学習者モデル / 認知スキル / データ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,研究実施計画に照らして,前年度までの開発システム間の融合による研究環境を整備しつつ,実用性を重視した研究を実施してきた.特に,意図的な視線等を学ぶといった人間の認知機能に着目した学習支援を実現した.まず,チームスポーツにおけるフィールドやコートを俯瞰した際に,プレイヤの位置関係を動画描画する二次元シミュレータに基づいた研究を進める,次にそれと並行して1対1の場面における認知スキル向上の研究を展開し,対外的に発表を行った.具体的な対象は,前年度から引き続きバスケットボールとサッカーを中心としている.前者は,バスケットボールにおけるチーム戦術を概念理解するために,プレイヤの立場からどこに着目すれば良いかをナビゲートするような改善を前年度以前のシステムに対して行った.録画ビデオからプレイヤのトラッキングを行う技術開発が進んでおり,今後は任意のゲームに対し,トラッキングデータの活用がある程度できるようになる見込みである.また,サッカーにおいては,プレイヤの体の向きを考慮したボロノイ図による戦術の高度化にも取り組んでいる.さらに,個人間の対峙場面においては,それまで1対1の場面においてはオフェンス側の突破スキル向上を中心に支援してきたが,ディフェンス側の学習支援として経験者の視線を学べるシステム開発を行った. 以上のように,それまでの2つのサブテーマそれぞれで視線に着目した研究を実施してきたが,2020年度は新型コロナ感染症の影響で,研究環境に被験者が直接触れる機会が減ったことから,データ取得しながら分析し開発するという過程では困難を生じた.その中でも2件の査読付き論文を発表し,解説記事を1件,国内口頭発表等で9件の発表を行った.この中には,フットサルを含むサッカーやバスケットボール以外にも,野球なども含めたスポーツデータ分析に取り組むことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドやコートを俯瞰する二次元シミュレータに対しては,ゲームの再現を動画視聴するだけでなく,戦術理解を促進する環境構築を行っている.前年度までの開発ではチームとしての戦術を学ばせる支援環境を構築したが,2020年度はボール保持者に対する行動選択が学べるような学習支援環境を開発した.パスやシュートは,ある時点のプレイヤからボールを投げたり持ち運んだりする際のボール移動軌跡で表現されるよう捉える.バスケットボールにおいては,ゴールはコート内の設置座標が固定化されたノードとして,個々のプレイヤをノードとすれば,毎フレームに全部で11点のノードが定義できる.このうち,オフェンス側に着目すると6ノードとなる.そこで,各ノードを頂点としてドロネー三角分割手法を適用することで,特定条件下での行動選択肢を機械的に生成することが可能となり,その各エッジに対しておすすめの度合いを計算する機構を構築・評価した.なお,サッカーにおいては比較的広いフィールドを扱い,かつゴールがノードと見なせないことから,ボロノイ領域図を用いた手法を適用したオフザボールの評価において研究を進めている.また,チーム戦術理解においてディフェンス側がどこに着目してプレーすべきかのガイドをするシステムを開発し,評価を行った.いずれも,提案手法に一定の効果を示唆する結果が得られている. また,1対1の場面における視線に着目すると,ディフェンス経験者が対峙するオフェンスのどこを見ているかを疑似体験することで,視線学習することが可能となる.そこで,経験者の視線と初学者の視線の軌跡をトラッキングし,DTW(動的時間伸縮法)により評価する手法を開発し,評価を行った.評価結果,これも提案手法により一定の効果が得られることが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究開発成果を応用した研究を実施すべく,研究代表者と分担者の間で,オンライン研究打合せを開催しながら方針を定める.2020年度にオンラインミーティングを活用して一定の情報共有も可能であったが,スポーツに関してはそのデータ観測等の必要性から,実世界での会合も一定必要ということが分かった.そのため,対面可能となったタイミングでは研究打合せやデータ取得の場を対面で設けたい.また,最終年度は,それまでの研究成果の対外発表も積極的に実施し,社会還元に努める予定である.そのために学会発表等にかかる予算を計上する.なお,対象は引き続きバスケットボールやサッカーを中心に取り上げる. 一方,研究の内容に関しては,様々なサブテーマが見えてきていることから,これまでの本研究テーマに即した研究とともに,それら副次的なテーマにも取り組む予定である.例えば,メインのテーマにおいては,ボール保持者の行動選択学習の高度化,またはボール保持者以外の行動選択学習への展開が課題となっている.また,VR技術を応用して,二次元と三次元の空間を行き来できるようなシステムにより,人間の認知スキルの学習支援をさらに高められるように開発を行う.そのために必要なデバイスの購入を計画する.また,サブテーマとしては,ゲームデータ分析や,プレイ予測といった観点からの学習支援環境の設計と実装を行いたいと考えている.また,システムのオンライン化などを可能な限り進めることで実験を進める際の被験者への配慮を進める予定である.
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Research Products
(13 results)