2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of radiation-induced chromosome abnormalities
Project/Area Number |
18H03373
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀越 保則 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00719429)
孫 継英 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (80397926)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 放射線被ばく / 染色体構造異常 / 放射線誘発核内ドメイン / 医療放射線被ばく |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線被ばくによる染色体構造異常の形成機構について、DSBs修復に関連する蛋白質が損傷部位に集積し構築する「放射線誘発核内ドメイン」に注目し、染色体構造異常の形成メカニズムの解明に取り組む。また、低線量放射線被ばく、特に医療放射線被ばくによるゲノム障害について、染色体構造異常や放射線誘発核内ドメインをマーカーに用いて取り組む。これらの研究を推進することにより、分子細胞生物学的及び分子細胞遺伝学的観点から包括的な放射線の人体影響の解明に取り組む。 放射線誘発核内ドメインの構造構築解析では、化学反応としてのゲノム修復に位置情報を組み入れた染色体構造異常の形成メカニズムを検討するために、超解像顕微鏡や次世代シーケンサーを用いたHi-C解析を用いて放射線誘発核内ドメイン内部の微細構造及び染色体DNAとの関連についての解析を行う。令和元年度は、RAD51フォーカスとRAD51以外の修復関連タンパク質が構築するgH2AXや53BP1フォーカスなどの放射線誘発核内ドメインとの相対的位置関係の変化を検討し、染色体構造異常の形成機構の解明に取り組んだ。 医療放射線被ばくのゲノム損傷評価では、CT検査などの医療放射線被ばくによる染色体異常誘導の解析を行うことで、医療放射線被ばくの人体影響を定量的に評価する。さらに、gH2AXフォーカスなどの放射線誘発核内ドメインの自動解析システムを用いたゲノム損傷の定量的評価法の確立に取り組む。令和元年度は、広島大学病院で低線量胸部CT検査を受ける症例について、検査の前後に末梢血を採取し、二動原体染色体・環状染色体のPNA-FISH法による検出を行ない、通常線量CT検査では明らかであった染色体異常、gH2AXフォーカスの上昇が認められず、肺癌検診での低線量胸部CT検査の正当化を支持する結果を得て、論文発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
放射線誘発核内ドメインの構造構築解析については、RAD51フォーカスとRAD51以外の修復関連タンパク質が構築するgH2AXや53BP1フォーカスなどの放射線誘発核内ドメインとの相対的位置関係の変化を検討した。これらの解析を通して、損傷部位と姉妹染色分体上などの相同部位との正確な会合のメカニズムを明らかにすることで、染色体構造異常の形成機構の解明に取り組んだ。 医療放射線被ばくのゲノム損傷評価については、広島大学病院で低線量胸部CT検査を受ける症例について、検査の前後に末梢血を採取し、二動原体染色体・環状染色体のPNA-FISH法による検出を行ない、通常線量CT検査では明らかであった染色体異常、gH2AXフォーカスの上昇が認められず、肺癌検診での低線量胸部CT検査の正当化を支持する結果を得てRadiology誌に論文発表を行い、大きな反響があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射線誘発核内ドメインの構造構築解析については、引き続きRAD51フォーカスとRAD51以外の修復関連タンパク質が構築するgH2AXや53BP1フォーカスなどの放射線誘発核内ドメインとの相対的位置関係の変化を検討する。これらの解析を通して、損傷部位と姉妹染色分体上などの相同部位との正確な会合のメカニズムを 明らかにすることで、染色体構造異常の形成機構の解明に取り組む。令和2年度は、放射線による様々なゲノム損傷の修復に関わるRA D51が修復のために構築する核内高次構造体としての放射線誘発核内ドメインの構造の違いについての解析を進め、ゲノム損傷の種類に合わせ た最適な修復がどのように行われているのかを検討する予定である。 医療放射線被ばくのゲノム損傷評価については、引き続き、広島大学病院でCT検査を受ける症例について、検査の前後に末梢血を採取し、PNA-FISH法の技術を用いてリンパ球についての二動原体染色体・環状染色体の検出を行い、CT検査による低線量被ばくの人体影響を評価するためのデータを蓄積する。さらにgH2AXフォーカスを用いたDNA損傷誘導についての検討も進める。令和2年度は広島大学病院で肝炎、 肝臓がんなどのためCT検査を受ける症例について 、 検査の前後に末梢血を採取し、二動原体染色体・環状染色体のPNA-FISH法による検出を行う。さらに、PET-CT症例についても同様の解析を行い 、FDGによる内部被曝の影響評価を行う。
|
Research Products
(16 results)
-
[Journal Article] Biological Effects of Low-Dose Chest CT on Chromosomal DNA2020
Author(s)
Sakane H, Ishida M, Shi L, Fukumoto W, Sakai C, Miyata Y, Ishida T, Akita T, Okada M, Awai K, Tashiro S.
-
Journal Title
Radiology
Volume: 295(2)
Pages: 439-445
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-