2018 Fiscal Year Annual Research Report
人間の地磁気感受性の行動・生理計測-磁気覚と視覚の干渉効果を利用して-
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18H03500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞溪 歩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (50273842)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気感受性 / 行動実験 / 脳波計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,バクテリアから哺乳類・鳥類に至るまで有している地磁気感受性が,ヒトにも備わっていることを明らかにすることにある. このため,研究計画として,ヒトに地磁気強度の磁気刺激を与え,生理反応(脳波)・行動反応を計測しその証拠を探す.初年度である2018年度は,アクティブ電極(計64チャネル)+光ファイバ信号伝送によって,外来雑音に対してロバストな脳波計を購入し,かつ電磁シールドルーム室外の実験装置を固定するフレームを鉄からアルミ製(非磁性)に取り替えることによって,より精密な実験環境を構築した.この装置を用い,準備段階から着手していた磁気スイング刺激に対するアルファ波の事象関連脱同期現象(ERD)をより精密に計測した.この結果,刺激変化の回転変化が反時計周りのときのみ(強度は地磁気強度で一定,鉛直成分は変化せず下向き),ERDは方向選択的に現われることがわかった.本実験は,準備段階からの共同研究先であるカリフォルニア工科大と共に行った.重要な点として,被験者34名は,性別,年齢以外に人種も多種多様であり,ヒトは潜在意識下では一般的に地磁気感受性を有していると言える.この結果は,共著論文としてeNeuro誌に発表した. なお,論文発表時に,同誌の母体である北米神経科学会,東大,カリフォルニア工科大の3箇所からプレスリリースも行った.意義として,プレスリリースに呼応する形で,本成果は国内外の多数のメディア(国内では,フジテレビ,J-Wave(FM放送)に出演,産経,朝日,日経新聞に掲載)に取り挙げられた. 一方,潜在意識下にあると思われる磁覚の脳内電気信号を増幅する手段である経頭蓋細胞外インピーダンス制御(tEIC)については,基礎実験に着手し成果を国内学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように,脳波計測は論文化に至たり各種メデイアにも取り挙げられたことから順調であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,磁場刺激に伴う脳波計測のみならず,行動実験も行う計画である.行動実験は視覚と磁覚の相互作用によって,ヒトが磁気感受性を有していることを間接的に示す.
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Research Products
(4 results)