2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamics and Knowledge and Cultural Memory in the Ancient Mediterranean World
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18H03587
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
周藤 芳幸 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70252202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00192542)
長田 年弘 筑波大学, 芸術系, 教授 (10294472)
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
高橋 亮介 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (10708647)
田澤 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (30598587)
佐藤 昇 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50548667)
大林 京子 (山花京子) 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (50594157)
田中 創 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50647906)
藤井 崇 関西学院大学, 文学部, 准教授 (50708683)
安川 晴基 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60581139)
芳賀 京子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80421840)
中野 智章 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90469627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地中海 / 知の動態 / 文化的記憶 / 文字 / 図像 / 口承 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紀元前8世紀から紀元後5世紀にかけて地中海世界に独自の文明が展開した要因を探るために、個人から帝国にいたる様々な規模の集団のアイデンティティ構築に寄与した文化的記憶の動態を明らかにすることを大きな目的として掲げている。この問題に取り組むにあたって、本プロジェクトでは、歴史学、考古学、美術史学、哲学の最先端で活躍している研究分担者が、それぞれの国際的なネットワークを共同で活用することを重視してきたが、当該年度においても、北川千織(マインツ大学)、ルール・コナイネンダイク(ライデン大学)、アンケ・ヴァルター(ニューカッスル大学)を招聘して研究会を開催するとともに、学振招へい短期で名古屋大学に滞在したアナリーザ・マルツァーノ(レディング大学)とも意見交換を行いながら、共同研究を推進した。具体的には、2018年度に開催した国際コロキアムでの成果をオーストリアのフォイボス・フェアラークから出版する準備を進めつつ、そこで寄稿者から提起された「知識」の再定義(とりわけ、特定の期待のもと、特定の目的のために組織化される情報としての知識をめぐる諸問題の検討)を軸に、研究をさらに深化させ、メンバーそれぞれが国際研究集会や国内の学会等で報告を行った。また、本プロジェクトでは、具体的なケース・スタディとして、地に足のついた研究を発展させるために、エジプトにおける古代遺跡でのフィールドワークをはじめとする現地調査とその成果の国際学界への発信も継続しており、当該年度には、5月にシンポジウム「古代エジプト領域部におけるモニュメントと知の動態」の開催、6月にはベルリン自由大学で行われた国際研究集会での口頭発表、1月にはエジプトにおける現地調査などを順調に実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の第4回日欧古代地中海世界コロキアムで提起された知識の再定義の問題の再検討を中心とする知の動態の解明に向けて、予定していた研究会や講演会の開催、海外からの研究者の招へい、ギリシアとエジプトにおける現地フィールドワークを、ほぼ順調に遂行することができた。英文による年次調査報告も、順調に公刊されている。これら作業の円滑な実施にあたって必要な事務補佐体制についても、2019年度の途中から相応しい人材を得ることができたため、次年度以降の着実な展開のための基礎を固めることができた。コロキアムの報告書の刊行についても、8月にウィーン大学のマリオン・マイヤー教授と編集についての打ち合わせを行い、一部の原稿の提出が遅れたものの、予定していた通り、年度内に原稿を集めることができた。なお、年度末に開催を予定していた研究会については、新型感染症の流行により開催を延期し、2020年度に入ってから改めてオンラインで行うこととしたが、それによって研究の進捗に大きな影響が及ぶことはなかった。現地調査についても、エジプトで感染症問題が顕在化する直前に当該年度のフィールドワークを実施することができたため、実質的な影響はなかった(ただし、2020年度については予断を許さない状況にある)。研究分担者との意見交換や、研究代表者と研究分担者それぞれの研究成果も下記の通り順調に公刊されていることから、全体としてはおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は、「文化的記憶」を鍵概念として、ギリシアとローマだけではなく、エジプトも含めた古代地中海文明の諸相を共同研究を通じて検討することにより、この文明がいかにして人類のその後の歴史に大きな影響を与えることになったのか、その根本的な要因を探るために策定された。そのために、海外の関連分野の研究者とのネットワーク強化と、他の関連プロジェクトとの連携を通じた現地調査の継続的展開を重視してきたが、これらの点については、2022年度に予定しているアテネでの研究拠点の設置と第5回日欧古代地中海世界コロキアムの開催に向けて、さらに強化していきたい。一方で、本プロジェクトが目指している異なるディシプリンの連携については、アカデミズムに深く根を下ろしたそれぞれの伝統に配慮しながらも、共同事業の実施を通じて、さらに推進する必要を痛感している。この点については、2020年度に入って感染症対策の観点からオンライン会議やウェビナーが急速に普及したことから、これまでのような研究会等のあり方に代えて、ICTを最大限に利用した研究活動の推進をはかることを企図しており、すでにその試みは緒についている。現地調査については、今後これまでにような形で調査を継続することができるか予断を許さないものの、これまでもエジプト革命に際してのように現地情勢の流動化によって計画の微調整を迫られたケースがなかったわけではなく、これまでに得られたデータの再検討なども含めて、所期の目的に向けた研究を進めていきたい。
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Research Products
(51 results)
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[Book] Forensic Narratives in Athenian Courts2019
Author(s)
Mike Edwards, Dimos Spatharas (eds.) Dimos Spatharas, Mike Edwards, Michael Gagarin, Catherine Psilakis, Christine Plastow, Brenda Griffith- Williams, Peter A. O’Connell, Noboru Sato, Kostas Apostolakis, Eleni Volonaki, Ruth Webb, Victoria Wohl, Nick Fisher, Christos Kremmydas, Rosalia Hatzilambrou
Total Pages
278
Publisher
Routledge
ISBN
9781138099647
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