2018 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of manufacturing techniqes and restoration procedures of Asian traditional cultural objects
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18H03598
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
伊藤 嘉章 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 未登録, 副館長 (80213099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 恵英 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (40205315)
木川 りか 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 課長 (40261119)
原田 あゆみ 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 課長 (20416556)
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 課長 (10416555)
志賀 智史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 室長 (90416561)
大橋 有佳 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, アソシエイトフェロー (10804388)
渡辺 祐基 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, アソシエイトフェロー (20825583)
早川 典子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (20311160)
川村 佳男 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 主任研究員 (80419887)
楠井 隆志 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 課長 (30446885)
森實 久美子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 主任研究員 (70567031)
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 室長 (00463505)
望月 規史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 研究員 (80635251)
酒井田 千明 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 研究員 (70750181)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アジアの文化財 / 文化財の修理技法 / 文化財の製作技法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である今年度は、情報収集を兼ねて多角的に調査を開始した。タイでは、国立の伝統文化財部で現在行われている王室の御座船の修理方法や伝統的人形劇の人形、漆工品、色ガラスを多用した木製品、布製品、石造彫刻等の製作・修理技法のほか、寺院の壁画の修理技法について調査を実施した。インドネシアでは伝統的な影絵であるワヤン・クリの製作技法や機織りによるイカットの製作技法、伝統的な青銅製品(ゴング)の製作技法についての聴き取り調査を実施した。ミャンマーではこの地域に特有な性質をもつ漆工品の調査を行い、ベトナムでは伝統的木製品の修理のための調査のほか、藕糸の製作技法に関する調査を行った。また国内に存在するアジア地域に関連する文化財についても積極的に調査を進めた。中国式寺院の独特な様式をもつ仏像や金工品や、国内で保有しているアジア地域と関連する染織品(藕糸を使用したと考えられる絵画やインド更紗)、韓国の伝統的絵画(綿布に書かれた絵画)の修理方法についての調査、響銅(佐波理)の製作痕の調査、インドネシアのガムランの音色にかかわる構造などについての詳細調査を実施したほか、出土した茶入などの陶器についても製作技法を解明するためにCTによる詳細な構造調査を行った。このほか、修理技法と係る基礎研究としては、アジア地域で伝統的技法に多用されてきた灰汁について文書の修理への利用を念頭に、成分分析と修理対象となる紙に対する影響調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで九州国立博物館や研究分担者が展示や研究協力を通じて良好な関係を結んできたアジアの諸国の文化財関係者を通じて、初年度から現地での調査を順調に進めることができた。現地の担当者から現場で詳細な聴き取り調査をすることによって、現在採用されている製作技法、修理技法のみならず、以前行われていた方法についても調査をすることができ、現時点の課題も理解することができた。また、国内に存在するアジア地域に関連する文化財について詳細に調査を開始することによって、製作技法についてこれまで知られていない貴重な情報も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に多角的にアジアの各地域の文化財に関わる調査を開始したので、その調査結果を通じて要点や問題点、さらに深めるべき課題を整理したうえで、重要と考えられる製作技法、修理技法についてより詳細な調査を実施する。これとあわせ、昨年度は実施できなかった分野についても、重要な課題を掘り出すための基礎調査はひきつづき行う。国内の工芸品の製作技法の特質とそのほかの地域の対応する工芸品の製作技法についても対比させながら、気候に応じた材料の違い、完成品の特質の違いについて考察を加える。 また、国内のみならずアジア地域でも共通に用いられてきた伝統的材料について、材料としての利点や特質を調査するため、ひきつづき分析を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)