2020 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of manufacturing techniqes and restoration procedures of Asian traditional cultural objects
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18H03598
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
伊藤 嘉章 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 未登録, 客員研究員 (80213099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 惠英 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (40205315)
木川 りか 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 課長 (40261119)
原田 あゆみ 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 課長 (20416556)
白井 克也 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 課長 (70300689)
志賀 智史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 室長 (90416561)
楠井 隆志 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 課長 (30446885)
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 課長 (10416555)
早川 典子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (20311160)
渡辺 祐基 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 研究員 (20825583)
川村 佳男 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (80419887)
望月 規史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 研究員 (80635251)
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (00463505)
森實 久美子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 室長 (70567031)
酒井田 千明 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 研究員 (70750181)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アジアの文化財 / 文化財の修理技法 / 文化財の製作技法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、各分野での製作技法、修理技法の調査を進めるとともに、これまでの調査内容の成果公開にも尽力した。金工分野では、昨年度に引き続き刀剣研磨の伝統的技法に対する理解をより深めるため、各々の研磨の工程に使用される砥石の調査を実施し、研究と展示普及に活用するため砥石のサンプルを入手した。さらに、国宝の観世音寺の梵鐘の製作技法について三次元計測や蛍光X線分析を実施し、検討した結果を紀要にとりまとめた。なお、この梵鐘は当館文化交流展室において公開した。また、国内機関が所有するインドネシアの刀剣の様式や材料の調査を実施した。彫刻分野では、中国の影響が大きい長崎唐寺の黄檗宗寺院の仏像の材質、構造、技法を調査するために、X線CTによる構造調査、および蛍光X線による材質調査等を実施し、結果を研究紀要に報告としてとりまとめた。また、スリランカ、タイの仏像についての調査結果を論考にまとめた。漆工品については、南部家婚礼調度や、国宝初音の調度について、X線CTによる内部の調査を行い、当時の最高峰の漆工技法の木取りや布着せなどの詳細な作りについて考察を深め、研究紀要および学会発表で報告した。陶器の調査については、昨年度に引き続き、製作工程が異なると考えられる茶入についてX線CTにより詳細な調査を実施し、研究会等でその成果を公表した。本調査で得られたCT画像は「科学の目でみた薩摩茶入」として展示でも活用することができた。考古分野では、インドネシアの壁画の描画を鮮明化する技法を駆使し、描かれた対象の理解につながった。 修理技法については、灰汁を水害固着文書の修復に応用する方法について、灰汁の成分分析や各種紙資料への影響について詳細な検討を行い、学会で発表した。また、ベトナム国立歴史博物館における文化財の保存修復について担当者に現在の取り組みをまとめてもらい、研究紀要に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各分野で、前年度からより発展させた形でそれぞれの伝統的製作技法の調査が進められており、順調である。毎年、研究分担者が集まって研究会を実施しており、研究成果をお互いに検証し、とりまとめる貴重な機会となっている。それらの知見が今後の修理技法にも活用される基礎的な知見として大きな成果につながると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、それぞれの分野の伝統的文化財の製作、ひいては修理技法に関する調査をより多角的に進め、これまでと同様、研究会を通じて考察を深める。また、昨年より新型コロナウィルス感染症の影響により、海外での調査が困難である状況を受けて、オンラインも活用し、まだ聴き取り調査を実施できていない海外機関にも聴き取り調査を実施していきたい。
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Remarks |
関連展示(1)■国宝 観世音寺梵鐘 飛鳥時代・7世紀、福岡・観世音寺所蔵 関連展示(2)■展示 当館文化交流展 「科学の目でみた薩摩茶入」2020-12-08~2021-01-31
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Research Products
(14 results)