2018 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ遊動社会における接合型レジリアンス探求による人道支援・開発ギャップの克服
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18H03606
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (30275101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 暁剛 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任准教授 (20402753) [Withdrawn]
波佐間 逸博 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (20547997)
佐川 徹 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70613579)
島田 剛 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (90745572)
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (60191938)
阪本 拓人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40456182)
榎本 珠良 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (50770947)
村尾 るみこ 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 助教 (10467425)
小川 さやか 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (40582656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レジリエンス / 開発 / 人道支援 / 遊動民 / 地域研究 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、研究期間の初年度にあたるため、11月17日に慶應義塾大学で第1回研究集会を開催し、前研究課題の研究成果を総括・再検討しながら、問題点の洗い出しと今後の研究計画の練り直しの作業を進め、本研究課題へと引き継ぐ作業を中心に行った。 11月18日に本科研共催で、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フィールドサイエンス研究企画センター2018年度第2回フィールドサイエンスコロキアム「『地域研究からみた人道支援』をめぐって」を開催し、本研究組織から湖中、孫、太田、島田、波佐間、村尾、佐川が参加して、報告、コメント、質疑応答を行った。人道支援がより広い意味での人間観の問題と不可分であることなど重要な着眼点が得られた。 また、海外臨地調査を予定していた湖中、孫、佐川、波佐間、榎本、村尾、望月、リトル、ンババジが全て当初の予定通り海外臨地調査を実施し、調査資料を収集することができた。ケニア北部の遊牧民・農牧民については、湖中が紛争によって発生した国内避難民の物質文化追跡調査、リトルが経済的多様化と送金の役割の調査、孫が旱魃レジリアンス向上プロジェクトの効果と影響についての調査をそれぞれ実施した。エチオピアでは、佐川がローカルNGOによる平和構築介入が農牧民社会にもたらす影響を調査した。ウガンダでは、波佐間が暴力がヘルスケア・システムにおよぼす心理社会的影響についての調査、榎本が緊急フェーズからの移行期にローカルNGOが直面した状況についての調査、望月とンババジがアジュマニ県の難民居住地での支援状況や農牧復興についての調査を行った。ザンビアでは村尾が元アンゴラ難民の農業および都市交易網についての調査を行った。 また、予定通り本研究ウェブサイトの日本語版ウェブサイトの公開を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に本研究が計画していた研究計画の大半は予定通り達成できたため、計画はおおむね順調に進行していると判断される。 前研究課題の研究成果をまとめた書籍(湖中真哉・太田至・孫暁剛(編)『地域研究からみた人道支援』(昭和堂・2018年3月刊)が第8回(2018年度)地域研究コンソーシアム賞の研究作品賞、および2018年度の国際開発学会賞選考委員会特別賞を受賞したため、受賞記念講演等を通じて、本研究の研究課題としての意義や展望を深めることができた。 まず、11月17日に計画通り第1回研究集会を開催し、前研究課題の研究成果を総括・再検討しながら、問題点の洗い出しと今後の研究計画の練り直しの作業を予定通り進めることができた。本研究全体の趣旨および計画を確認すると同時に、湖中、孫、太田、島田、波佐間、村尾、佐川、榎本、阪本がそれぞれ研究計画案を報告し、研究組織全体で討議と計画調整を実施することができた。さらに、当初の計画に加えて、11月18日に本科研共催で、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フィールドサイエンス研究企画センター2018年度第2回フィールドサイエンスコロキアム「『地域研究からみた人道支援』をめぐって」を開催し、研究組織内外との対話を重ねつつ、順調に研究課題を引き継ぐことができた。 また、海外臨地調査を予定していた湖中、孫、佐川、波佐間、榎本、村尾、望月、リトル、ンババジが全て当初の予定通り海外臨地調査を実施し、調査資料を収集することができた。 研究成果の公開に向けての準備作業としては、計画通り本研究ウェブサイトの日本語版ウェブサイトの公開を開始することができ、本科研の広報、研究成果の公開等に活用できる体制整備が達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、当初の計画では、研究成果の中間報告として、海外研究協力者との協働によりIUAES Inter-Congress [国際人類学・民族学連合中間大会]において遊牧委員会[Commission of Nomadic Peoples]パネルを開催することを計画しており、開催年度は2020年度を予定していた。しかしながら、海外研究協力者とのメール協議の過程で、より早期に海外の研究組織構成員と日本の研究組織構成員が直接に顔を合わせて、研究課題について討議する必要があるとの指摘がなされ、1年度前倒しでの国際会議パネルを開催することを検討するに至った。 そこで、研究代表者の湖中と海外研究協力者のクラトゥリが協議し、両者を共同主催者として、2019年8月27-31日にポーランドのポズナンで開催されるIUAES2019 Inter-Congressで遊牧民委員会パネルを提案し、実行委員会により採択された。パネルのタイトルは、Pastoralists and Resilience: Rethinking the Inside and Outside Perspectives of the Pastoral Communitiesであり、パネル要旨は湖中とクラトゥリが協働で起草した。パネル申請に当たっては、遊牧民委員会の委員長より承諾を得ており、計画通り、正式な遊牧委員会パネル[Commission of Nomadic Peoples]として開催することが可能になった。 とりわけ、本研究は、研究代表者の湖中と海外研究協力者のクラトゥリの国際的双頭体制で運営しており、変更は、この運営方針に沿ったものである。こうした経緯により、次年度の研究においては、1年度前倒しで国際会議パネルを開催する研究推進方策を採ることとした。
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