2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the transformation of consiousness and policy towards sexual minorities
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18H03652
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
河口 和也 広島修道大学, 人文学部, 教授 (10351983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
釜野 さおり 国立社会保障・人口問題研究所, 人口動向研究部, 第2室長 (20270415)
鈴木 秀洋 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (30780506)
石田 仁 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (40601810)
風間 孝 中京大学, 国際教養学部, 教授 (50387627)
堀江 有里 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 嘱託研究員 (60535756)
谷口 洋幸 金沢大学, GS教育系, 准教授 (90468843)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性的マイノリティ / LGBT / 社会意識 / 社会政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究チームは、SOGI意識調査グループとSOGI施策調査グループからなる。計画としては、二つの調査グループが並行して調査実施を行う予定であったが、2019年度においては、SOGI意識調査の全国大規模意識調査を中心に実施していくこととした。施策チームのメンバーの在外派遣研究などにより人的資源の確保が難しくなったこと、さらに意識調査の調査費用を再試算した結果、回答の回収数を確保するためには当初の調査予算では実施することが難しいことが明らかになった。(大きな要因としては調査実施時期の年度内に消費増税が実施されたこと。)したがって、2019年度には、施策調査の実施を縮小することにした。 2019年度においては、SOGI意識調査グループでは、全国規模の意識調査に向けて、調査票の最終確定を行い、前年度までに候補が挙げられていたなかから、依頼する調査委託業者を選定した。その後、調査実施に向けた諸手続きに関して、調査委託業者と科研研究チームおよび大学所管事務のあいだで進めた。本調査は、全国市町村区に在住する20歳~79歳の男女5500名(国籍は問わない)に対して、住民基本台帳を用いた層化2段無作為抽出(全国275地点)方法を用いてサンプリングを行い、2019年6月から7月(6月27日~7月15日:予備期間~7月22日)にかけての調査時期をもうけて行った。質問数は、120問程度でA4版16頁の質問票を対象に配布し、調査員による訪問留置訪問回収法(郵送回収、ウェブ併用)で回収した。回収数は2,703名で、回収率は49.1%となった。回収方法の内訳は次の通りである。訪問回収2,231、郵送返送305、WEB回答167。(回収数には30の代理回答を含んでいる)。意識調査は、予定通り遂行され、分析のためのデータクリーニングなどの作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度においては、2015年に実施した調査をもとにした2019年度実施予定の意識調査のための準備および不足部分とその追加や修正に関する作業が中心であったために、グループ内での検討も順調に進めることができた。ただし、個人情報保護などの意識が高まりを見せたことで、本研究チームによる意識調査が性的マイノリティやLGBTなどの質問項目が中心であるために、回収率が低下する可能性があることへの対処については、考慮を要することとなった。研究会議での検討事項のなかでは、こうした問題への対処に時間が割かれることとなったが、これまでの調査実績や結果から予測を立てることもできたために、準備に関しては比較的順調に進んだといえる。 2019年度は、本調査実施の年度であったが、調査委託業者は同じ研究チームで2015年に調査を実施した際の業者であったために、調査主旨や意義についても把握に時間を要することなく調査を実施できたと考えている。ただし、調査実施とその後のデータクリーニングなどのアフターケアのあいだでの消費増税などがあり、当初の計画では予算が不足するという事態が生起したために、前倒し申請をするなどの計画変更が生じることとなった。そうした変更があったものの、多少の遅れは生じているが、研究自体は比較的予定通りに進捗しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
SOGI意識の規定要因を特定するために、多変量解析などの手法を使い、分析結果を把握し、また先行研究にもとづく仮説の検証も同時に行う予定である。 また、2019年実施のSOGI意識調査結果のとりまとめを行い、同研究チームが2015年に実施した調査結果との比較と分析を行う。2019年実施調査報告と合わせて、比較調査結果を含めて調査報告書を作成し、さらに社会や市民に向けての結果報告会を実施し、広く公表する。社会状況による報告会実施が難しい場合には、一次調査結果についてはウェブなどを活用し、公開することにする。 SOGI施策調査グループでは、調査の進捗に遅滞が見られていたが、今年度は、47都道府県と政令指定都市等を含むおよそ1800の自治体における 性的指向・性自認に関する条例や計画・指針、その他取り組み状況を「全国自治体におけるSOGI施策に関する悉皆調査」(以下、SOGI施策悉皆調査)で明らかにし、内容を分析する。いくつかの自治体へのヒアリングを行い、施策策定の経緯、ベストプラクティス、困難事例等をまとめる予定である。研究会議については、感染症拡大などの状況を考慮し、できる限りネット会議などリモートにより年数回実施する予定である。SOGI意識調査による結果を、各自治体におけるSOGI施策の調査項目に反映させ、また、逆にSOGI施策調査の結果を、SOGI意識調査結果と関連させて分析や解釈を行うことによって、SOGI意識調査と施策調査の有機的な連関の上にたった研究を実施していく。
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Research Products
(1 results)