2018 Fiscal Year Annual Research Report
パラリンピックブレイン -ヒト脳の機能的・構造的再編能力-
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18H04082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中澤 公孝 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90360677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸男 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, プロジェクトリーダー (20390693)
荒牧 勇 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40414023)
野崎 大地 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (70360683)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パラリンピック / 脳再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は義足の競技者、脊髄損傷の競技者、を主たる研究対象として、経頭蓋磁気刺激(TMS)、機能的脳画像(fMRI)を用いた実験を実施した。これまでに、義足競技者において、義足を操作する筋に対する脳の両側性支配が観察されている。既にfMRIの結果は国際誌にアクセプトされたが、TMSを用いて同側皮質脊髄路の活性化の有無を検証している。現在までのところ、義足競技者において同側皮質脊髄路が活性化している例が複数認められており、さらに被検者数を増やし結果の信頼性を確認しているところである。脊髄損傷競技者に関しては、主にパワーリフターのデータを収集してきた。その過程で、脊髄完全損傷者のグリッピングフォース安定度が健常者、他の障がいによる車いす使用者よりも統計的に有意に優れることを見出した。これは障害による代償性反応と日常の上肢使用頻度増大による相乗効果の可能性が高いと目されるが、運動と感覚両者の麻痺を有する完全脊髄損傷者のおいて特に先の運動能力が高いことは、今後その背後のメカニズムを探るうえで重要な事実である。さらに、この課題を実行中の脳活動を調べたところ、脊髄損傷者において脳の活動領域が有意に少ないことが明らかとなった。この結果から、健常者と同一の上肢運動課題を遂行している時の神経効率が脊髄損傷者において極めて高いことが示唆された。 次年度はさらに実験を継続するとともに、上記結果の背後にある神経機序を解明するための研究を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比べてやや遅れている部分もあるが、特に脊髄損傷者の代償機能の発達に関しては既にまとまったデータが得られ、新たな発見があった。これを裏付ける脳の活動についてもほぼ固い結果が得られており、一年目としては計画以上の成果が既に得られている。これに加えて、義足アスリートの義足を操作する筋における同側脳の支配もほぼまとまった結果が得られ、fMRIの結果は国際誌での掲載が許可された。これも一年目としては想定以上の成果である。以上を総合的に考慮し、上記自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、障害特性を基に、①脳自体の一部損傷(脳性麻痺、外傷性脳損傷他)と②四肢欠損(四肢切断、奇形)および③四肢機能喪失(二分脊椎、脊髄損傷)、に分類し、それぞれを後天的障害、先天的障害に分けて、各障害に対する脳機能・構造の再編を調べる。これらの障害を有するパラアスリート、および適宜対照群としての非競技者、健常競技者、などを被検者とする。現在のところ、②と③の被検者数は統計検定に堪えうるレベルに増えてきたが、①はまだ少ないため、さらに被検者数を増やす予定である。
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Research Products
(10 results)