2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and Applications of Discrete Preimage Problems
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18H04113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿久津 達也 京都大学, 化学研究所, 教授 (90261859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永持 仁 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70202231)
細川 浩 京都大学, 情報学研究科, 講師 (90359779)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 逆問題 / グラフアルゴリズム / 特徴ベクトル / ニューラルネットワーク / バイオインフォマティクス / ケモインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度については以下の研究を行った。なお、コロナ禍のため、その一部は2021年度に繰り越して実施した。 (1)これまでに引き続き、化学構造設計を対象にニューラルネットワークの原像問題に取り組み、研究を発展させた。具体的には、これまで木状構造のみを対象としていたが、1個の環がある場合、および、2個の環がある場合に対応できるよう、構造の定義法、整数計画法の定式化などを拡張し、計算機実験により有効性を確認した。 (2)上記と同じ目的のため、かつ、より一般的な化学構造に対応するために、化学グラフを内部と外部に分けて捉える二層モデルという概念を導入し、そのモデルに対する原像問題を解くための整数計画法による定式化を開発、実装し、計算機実験により有効性を確認した。 (3)特徴ベクトルから環を持つ化学構造を効率的に列挙するための新たなアルゴリズムを開発した。具体的には1個の2連結成分を持ち、その辺数が頂点数より1個多い化学グラフについて、重複も過不足もなく異なる構造をすべて列挙するアルゴリズムを開発、実装し、計算機実験により有効性を確認した。 (4)階層型のニューラルネットワーク内で情報がどう伝播するかを解析するために、線形閾値関数やより一般のブール関数を活性化関数とするモデルのもとで情報量が保存される条件を理論的に導くとともに、計算機実験によりその妥当性の評価を行った。 (5)遺伝子ネットワークの離散数理モデルであるブーリアンネットワークにおいて、どの定常状態にいるのかを同定するための最小頂点数の計算手法を以前の研究で提案していたが、ノイズのある場合に対応した新たな計算手法を開発し、理論解析および計算機実験による解析を行った。また、miRNAの切断部位を予測するための計算手法を配列類似性に基づくクラスタリング手法と勾配ブースティングという機械学習手法を組み合わせることにより開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは少し異なる展開をしているが、新規概念の提案など有用な研究成果が得られつつあり、順調に進展している。なお、コロナ禍のため、2020年度前半は研究が少し停滞したが、一部を2021年度に繰り越したため、計算機環境の充実による計算機実験の進展や国際会議でのオンライン発表などに有効に活用し、その分を補った。特に化学グラフにおいて二層モデルという柔軟性の高いモデルを新たに提案したことは、今後の様々な拡張や発展が期待でき、良い成果であると考えられる。さらに、近年に開発したコードの一部はGitHubを通じて公開しつつあり、ソフトウェアの公開という面でも順調に進展している。また、階層型ニューラルネットワークにおける情報伝播の解析に関する研究も新規性が高い研究であると考えられる。ただし、配列データに対する原像問題については十分な進展が得られなかったので、今後の課題として残されている。よって、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定とは少し異なる展開をしているが、研究は順調に進展しており、論文などの成果物も着実に得られつつある。コロナ禍のため海外での研究発表が困難となったが、オンライン参加を活用することにより国際会議での発表も行うことができたので、今後もオンライン参加を積極的に活用していく予定である。配列データに関する研究が遅れているが、無理して進展させるより、有用な成果が次々と得られつつある化学グラフに関する研究を優先した方が効果的であると考えられるので、そちらを優先して研究を進めていく。
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Research Products
(12 results)