2019 Fiscal Year Annual Research Report
Brain Organoid Analysis of Sleep/wake Cycles
Project/Area Number |
18J00052
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田宮 寛之 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 視交叉上核(SCN) / 脳オルガノイド / 同期振動 / Per2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度Six3-mVenusノックインES細胞を用いて開発したSCNオルガノイド分化誘導系を Per2::LuciferaseノックインES細胞 (Tamiya, Sci Rep 2016) へ応用した. Six3-mVenusとは大幅に分化誘導条件を変える必要があったが, 最終的に免疫染色でのSCN終分化マーカーなどの密集発現が観察されるSCNオルガノイドを誘導することができた. また, 発光イメージングで, 時計遺伝子の10周期分以上の減衰しない同期振動が観察できたため, 機能的SCNが誘導できたと考えられる (Tamiya et al., in preparation). また, 共同研究で広視野発光イメージングをおこなった結果, 免疫染色と発光測定のSCNらしい部位は一致していた. また, RNA Seqも行い,半数程度の細胞塊は, トランスクリプトームの観点からもSCNを含んでいることが明らかになった. 総じて, マウスES細胞から三次元SCN組織 (SCNオルガノイド) の試験管内誘導法の開発に成功した. 現在京都府立医科大学との共同研究で, SCN破壊マウスへの移植実験を施行している. 予備実験では第三脳室内に, 成熟SCN組織が生着していた. 現在行動リズムが徐々に観察されつつある. 自然回復の可能性や測定条件の問題があり, 成否の判断はもう少し慎重になる必要があるが, 行動回復が少しずつみえてきている可能性がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
培養条件が厳しく苦労はしていたものの, 視交叉上核でしかみられない時計遺伝子の同期振動が観察可能な脳オルガノイドの誘導に成功しており, 機能的な視交叉上核の誘導ができたものと思われる. また, 京都府立医科大学との共同研究において移植実験が進んでいる. まだまだ成否の判断は慎重になる必要があるが, 試験管内脳回路に行動が支配されたマウスの作製が少しずつ見えてきており, インパクトの大きい仕事になる可能性が見込まれる. また, 本成果が達成されれば, 発生学的な研究・時間生物学的な研究・医学的な研究への発展性が期待される.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなる条件検討をおこない, 試験管内脳回路に行動が支配されたマウスの作製を確実に成し遂げたい. 現在の方向性で条件検討をしていけば,“試験管内脳回路を用いた個体の行動回復系”の構築が達成できると考えている. 現在は, より機能的な脳組織を作製できるよう, 1) レポーターES/マウスの作製・100%キメラ作製グレードのES細胞の再作製 (東京大学との共同開発) , 2) qPCRなどによる条件検討を進めている. また, 上記目標が達成されたら, 1) 発生学的クエスチョン 2) 時間生物学的クエスチョンの解明や 2) 医学応用の可能なSCNオルガノイド分化誘導系の発展を進めていきたい.
|
Research Products
(5 results)