2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J00315
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
戸田 安香 明治大学, 明治大学, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 受容体 / 消化管 / 刷子細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸上皮細胞のうち分化した機能細胞は、吸収上皮細胞、杯細胞、パネート細胞、内分泌細胞という4種類の主要な細胞と、刷子細胞、M細胞といった少数細胞に分類される。中でも、刷子細胞は小腸上皮細胞のうちわずか0.4%しか存在しておらず、その機能は殆ど明らかになっていなかった。しかし近年、刷子細胞が寄生蠕虫類などに対する免疫防御機構に関与することが立て続けに報告され、その機能に注目が集まってきた。一方で、当研究グループでは刷子細胞が完全に消失する、転写因子Skn-1a欠損マウスの解析から、刷子細胞からの食シグナルがカテコールアミンの分泌抑制を介してエネルギー消費量を調節することを明らかにした。さらに、その後のRNA-Seq法及び免疫組織学的手法を用いた解析から、刷子細胞の頂端部に局在して発現するGPCR“オーファン受容体X”を発見した。この受容体Xの遺伝子欠損マウスでは寄生虫感染に対する免疫防御能の低下が認められなかったことから、受容体Xは刷子細胞において免疫以外の機能に寄与することが示唆された。そこで、本研究では受容体Xの遺伝子欠損マウスの表現型解析及びリガンド探索を行い、受容体Xの新規栄養素センサーとしての可能性を検証することを目的とする。 2018年度は、CRISPR/Cas9法を用いて受容体X遺伝子欠損マウスを作出した。X遺伝子欠損マウスのエネルギー代謝に関する表現型を解析するため、高脂肪食飼育時の体重や臓器重量変化を野生型マウスと比較した。また、オーファン受容体Xのリガンド探索のために、培養細胞を用いたアッセイ系、in vivoカルシウムイメージング法、オルガノイド培養系の立ち上げを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の研究に必要な複数の遺伝子改変マウスの作出に成功した。また、in vivoカルシウムイメージング法やオルガノイド培養系導入のための準備が順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
X遺伝子欠損マウスのエネルギー代謝に関する表現型を解析する。また、RNA-Seq法を用いた遺伝子発現プロファイルの比較解析により、刷子細胞から分泌される液性因子やその合成経路に関与する酵素などをコードする遺伝子を同定する。 また、培養細胞系、in vivoカルシウムイメージング法、オルガノイド培養系を利用し、受容体Xのリガンド探索を行う。
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