2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J01031
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 大地 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 記憶 / 睡眠 / 大脳皮質 / 樹状突起スパイン / 2光子励起イメージング / 樹状突起スパイク / トップダウン入力 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶は、高次認知機能の基盤をなす重要な機能である。記憶の固定化に関する神経機構の解明は神経科学における重要な課題の一つである。これまでの研究から、記憶の基盤となっているのは、シナプスにおける「長期増強」というメカニズムであると考えられる。とりわけ大脳皮質においては、興奮性シナプスの大半が樹状突起のスパインという小突起構造上に形成される。スパインは記憶・学習に伴い形態が劇的に変化し、シナプス伝達効率を変化させることから、記憶を保持・固定化する細胞基盤と考えられてきた。近年、我々は長年の仮説であった「トップダウン入力が記憶の固定化に関与する」ことを実験的に解明した(Miyamoto et al., Science 2016)。この回路を光遺伝学的手法で操作しながら、動物行動と神経活動とを記録し、それらの因果関係を解明した。その結果、マウスの学習直後のノンレム睡眠時における感覚野へのトップダウン入力が、触知覚記憶の固定化に必須であることを解明した。よって本研究では、次のステップとして、トップダウン入力の受け手である感覚野の神経活動の詳細と、トップダウン入力との因果関係、触知覚記憶が感覚野に貯蔵されているかどうか、触知覚記憶の分子実体を明らかにすることを目指す。そのため本研究では、「トップダウン入力を受けやすい5層錐体細胞の樹状突起はノンレム睡眠時に樹状突起スパイクを発生させ(1)、知覚学習に関連したスパインの形成や刈込、メンテナンスが行われ(2)、最終的に知覚記憶が固定化される(3)」、という仮説を3つの小仮説に分け、これを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験計画通りに研究が進行している。得られた知見により実験計画の修正を行いながら研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、先行研究(Neuron 2015, Science 2016)と、既に行っている予備実験の結果より、信頼の高い作業仮説「トップダウン入力を受けやすい5層錐体細胞の樹状突起はノンレム睡眠時に樹状突起スパイクを発生させ、知覚学習に関連したスパインの形成や刈込、メンテナンスが行われ、最終的に知覚記憶が固定化される」を立てその検証を目指す。そのため、下記の3点を検証する。 [課題A]ノンレム睡眠中のトップダウン入力は樹状突起スパイクを誘起するのか [課題B] ノンレム睡眠中の樹状突起スパイクはスパイン形成を誘導するのか [課題C] 睡眠中のスパイン増大は知覚記憶に関連するのか
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Research Products
(2 results)