2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規農薬シード開発を指向したソラノエクレピンAの合成および構造活性相関研究
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18J01049
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花木 祐輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ソラノエクレピンA / ジャガイモシストセンチュウ / 構造活性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャガイモシストセンチュウ孵化促進物質・ソラノエクレピンAは,農薬としての応用が期待されているが,ジャガイモからの単離収率が低いことや,きわめて合成難度が高いことから,応用研究があまり進んでいない.そこで本研究は,ソラノエクレピンAの収束的な合成法の確立ならびに構造活性相関の解析を目的としている.さらにそれらの知見を利用して合成が容易な新規農薬シーズ化合物の開発を目指す. 昨年度は,ソラノエクレピンAの左セグメントと右セグメントのモデル化合物を利用し,アルドール反応等を用いたC環構築を検討した.当初は目的の環化体が得られなかったが,触媒に用いるアミン類の選択によって効率よく環化させる条件を見いだした.また,近年数多くの誘導体が単離されている重要天然物・アプリシアトキシン類についても,共通中間体の合成法を一部改善し量的に供給することができた.さらに,これを用いて新規誘導体のスピロ骨格を構築するに至った.今後,数種の類縁化合物の全合成の達成とそれらの生物活性評価が実施できると考えられる.また,昨年10月からは米国・Scripps ResearchのShenvi教授主宰の研究室にて,複雑なセスキテルペン型天然物の合成研究に着手した.本化合物群はソラノエクレピンAと同様の多環構造を有しており,用いられる合成反応に共通点もある.最先端の環境にてこれらの実験を経験していることから,帰国後の更なる研究の進展に寄与すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソラノエクレピンAの左セグメントと右セグメントのモデル化合物を用いた検討により,全合成における最重要課題であるC環部分の閉環法を見いだした.これにより,実際のセグメントを用いた全合成や構造活性相関研究に着手する準備が整った.また,重要生物活性物質であるアプリシアトキシン類についても新しい骨格の構築に成功した.さらに昨年度の後半は,米国・Scripps Researchにて今後の合成研究に応用可能な有機化学反応について学ぶことができた.以上より,おおむね順調に研究が進展したと判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の9月末まではScripps Researchにて合成研究に取り組むことを予定している.帰国後はソラノエクレピンAのC環の完成ならびに全合成を目指して合成研究を進める.アプリシアトキシン類についても,既にいくつかの鍵構造を構築できていることから,残り数段階にて各種天然物の全合成を完了し,生物活性評価を行う.
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Research Products
(2 results)