2019 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ北東部の湿地におけるスナドリネコと人との関係
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18J01133
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 愛 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | スナドリネコ / バングラデシュ / ハカルキハオール / 食肉目と人との軋轢 / 保全生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バングラデシュ北東部の内陸湿地の住民とスナドリネコの関係を多面的にとらえ、軋轢だけでない側面を明らかにすることで、住民によるスナドリネコの捕殺を減少させることを最終目的とする。特に地域住民の食料確保に着目し、スナドリネコが及ぼす「損失」と「利益」の両側面を明らかにしようとしたものである。昨年度の結果から、住民による認識は、他の食肉目と比較すると、スナドリネコによる家禽の損失の頻度・深刻度はそもそも少ないとされていることがわかった。また、スナドリネコのフン分析の結果も住民の認識を支持した。しかしながら、スナドリネコを捕殺しようとする意図は強く、経済的損失や家禽に関するリスク認識のみでは住民の捕殺行動を説明できないことが明らかになった。そのため、経済的に合理性のある対策では、捕殺の減少には結びつけられないと考えた。
そこで、今年度は(1)地域のスナドリネコ捕殺に対する社会的な規範の検証、および(2)研究対象地域での捕殺減少には長期かかると想定し、周辺の丘陵地におけるスナドリネコの生息調査を開始した。
その結果、(1)については、COVID-19の影響により、地域コミュニティーの中に入っての調査および軋轢が報告されている時期に渡航ができなかった、(2)については、乾季の始まりにカメラトラップを設置したことで、データを取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の調査データから、経済的な「損失」と「利益」を組み込んだモデルでは、ここの地域の軋轢は予測できないことが明らかになった。そのため、別の変数を取る必要があったが、今年はインタビュー調査を予定していた時期にCOVID-19の影響により、渡航ができず、データ取得ができなかった。一方、生態調査は当初の予定以上の形で進んでいるため、進捗状況としては「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールドでのデータ取得が必須であるため、COVID-19の状況に大きく依存する。ただ、地域住民のインタビューは困難であるが、生態調査は現地のカウンターパートと進めていく予定である。
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