2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18J01507
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Research Institution | Rikkyo University |
Research Fellow |
小山 民雄 立教大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 数値解析 / 統計学 / 微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、統計学に現れる多次元領域上の積分の高精度かつ効率的な数値解析の実現である。 本年度の研究では、A-分布を用いた最尤推定問題の統計学的な意義について考察し、その理論的意義を明らかにした。その際、相似検定のアナロジーにより、条件付き最尤推定を局外母数の影響を受けないパラメータの推定方法と捉え、行和・列和のバラメータを局外母数としたときの分割表のパラメータ推定法としてA-分布の最尤推定問題が得られることを示した。条件付き最尤推定の議論においては、局外母数、関連母数、十分統計量などの概念をσ-加法族として精密化し、関連母数が群作用の軌道が作るσ-加法族として書けることを示した。この結果は、共著論文 Y. Tachibana, Y. Goto, T. Koyama, N. Takayama, “Holonomic Gradient Method for Two Way Contingency Tables” として雑誌に投稿し、現在改定作業中である。 さらに、本年度は、独立同分布な正規分布に従う確率変数列の冪和に関する理論研究も行った。この冪和の確率密度関数の素朴な表示は多次元領域上の積分の形となり、数値解析の上で取り扱いが困難である。本年度の研究では、この確率密度関数を一変数の積分で表す公式について研究を行った。この結果により、正規分布に従う独立同分布な確率変数列の冪和の分布関数の数値計算の効率化が期待される。 また、本年度は、Fisher-Bingham積分に関する数値解析について国際研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあった、研究環境の整備や、高山信毅氏との研究打ち合わせ、日本数学会での研究発表などは予定通り行うことができた。さらに、研究計画にはなかったが、国際研究集会 21st International Conference on Information Fusion の方向推定 のセッションにおいて、“Numerical Calculation of the Fisher-Bingham Integral by the Holonomic Gradient Method”というタイトルで講演を行うことができた。また、これも研究計画にはなかったが、A-分布を用いた最尤推定問題の統計学的な意義についての理論研究を大きく進めることができた。 国際研究集会への参加により研究費の用途を変更する必要が生じ、超幾何方程式研究会、Risa/Asir Confereneへの参加を見合わせた。また、A-分布に関する理論研究や正規分布に従う確率変数の冪和に関する積分公式の研究に優先して取り組んだ結果、研究時間が不足となり、多面体領域の正規確率などの研究はあまり進められなかった。 研究内容の上で多少変更はあるものの、計画外の進展もあったため、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、進展のあったA-分布の最尤推定問題の理論的研究、独立同分布な正規分布に従う確率変数列の冪和に関する積分公式の研究は、継続して進める。また、十分に進められなった多面体領域の数値解析に関する研究も進める。
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Research Products
(3 results)