2018 Fiscal Year Annual Research Report
Practice and Values Related to Norms in Early Childhood Education and Care
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18J01873
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
辻谷 真知子 白梅学園大学, 子ども学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 規範 / 保育観 / 習慣 / きまり / 安全 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
園における規範について、前年度実施した質問紙プレ調査(「園のルールに関する調査」)をもとに、本調査を実施した。「規範」の内容をより具体化するため、調査名は「園の習慣やきまりに関する調査」と改めた。東京都内の認可保育所・幼稚園・幼保施設合計636園に3部ずつ配布し回収数は190園(30.0%)、協力者は471名であった。園生活における習慣やきまりの実態、ルールの内容ごとの有無の傾向、保育の中の特定の場面における援助として多いもの、危険に関する対応などに関して尋ねる内容である。また、具体的な場面における保育者の考え方などについても尋ねた。 結果として、具体的な習慣やきまりは、生活習慣や園生活の区切りについては設けている園が多かった。一方、遊びの中で用いる道具や素材に関する決まり、場所の使い方などについては園間でも園内でも有無の回答に相違があることが見出された。すなわち、道具、素材、場所等に関する習慣やきまりは、園による多様性があるだけでなく同じ環境でも保育者により有無の認識が異なりやすいことが示唆された。また安全に関するルールについては、怪我を「防ぐべきもの」として考えるか「経験」として考えるかにより回答の傾向が異なることが明らかになった。さらに、日常の出来事における援助としては、特に子ども同士のやりとりや素材・水の使用量に関する対応で回答者による多様性が見られた。 以上の内容を、調査結果の速報版として協力園に送付した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、2018年度に行う予定であった調査について、参照すべき先行研究が新たに加わったことから再検討を行い、調査の予定を遅らせて繰越を行い2019年度に実施したものである。また、この「園の習慣やきまりに関する調査」の結果をもとに、2019年度は道徳観などを含めた個人の考え方により焦点化した質問紙調査の実施を計画していた。しかし、2019年11月より出産育児のための採用中断に入ったため未実施である。 加えて、国際学会での報告等を中止したことから、成果発表にも一部遅れが生じている。研究再開後にさらなる調査及び発表を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査結果をまとめ報告するとともに、さらなる調査を進め、具体的な活用方法についても検討する。調査として、具体的には、まず当初より予定していた個人の道徳観も組み入れた質問紙調査を実施し本調査の結果と照らして検討する。また、本調査の結果をもとに選定した異なる複数の園にてインタビュー調査を行い、園内での規範の決定や共有の過程について検討する。さらに、特徴的な結果が見られた習慣・きまり(安全に関するルール、道具・素材・場所の使い方)について、個人の保育観との関連をより詳細に調査するため、個人への質問紙調査および園でのインタビュー調査を実施する。 これらの結果をもとに報告として、日本保育学会、ヨーロッパ国際幼児教育学会等の各学会の大会で発表を行うとともに論文化を進める。また、実践現場においては、園内・園間で異なる規範の可視化・共有を行って保育の質向上に繋げるための考え方の枠組みを提示し、実際に園での研修等で使用して検証を進める。
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Remarks |
本研究予算は2018年度の繰越であり、調査には使用したが研究成果の発表には使用していない。また、2018年度および2019年度の研究発表については各年度の実績報告書に記載している。よって本報告では研究発表に関する記載を省略している。
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