2019 Fiscal Year Annual Research Report
効果的なMedial Tibial Stress Syndrome予防手段の開発
Project/Area Number |
18J01881
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐伯 純弥 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ベアフットランニング / せん断波エラストグラフィ / ランニング障害 / ランニングシューズ / 筋硬度 / 後脛骨筋 / 腓骨筋 / 外側広筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベアフットランニングはランニング中の下肢のダイナミクスを変化させ(Lieberman et al., 2010; Sinclair, 2014)、習慣的なベアフットランニングトレーニングを行うことでランニングパフォーマンスが向上することが報告されている(Tam et al., 2015; Warne and Warrington, 2014)。一方、ベアフットランナーではノーマルシューズ着用ランナーと比較してMedial tibial stress syndromeなどの下腿以遠の軟部組織の障害発生が多いと報告されており(Altman and Davis, 2016)、ベアフットランナーに対する障害予防が必要である。また、ノーマルシューズ着用ランナーでは、膝のランニング障害が多いとされるため、シューズの有無で必要となるケア方法が異なることが考えられる。的確な障害予防方法の立案のためには,ランニングによってどの筋に負荷がかかるかを明らかにすることが必要である。そこで、健常成人男性17名を対象とし、シューズ着用もしくは非着用の条件でトレッドミルランニングを45分間、最大下の運動強度で行い、ランニング前後に下肢筋の弾性率を測定した。その結果、後脛骨筋の弾性率は両群ともにランニング後に有意に高値を示した。外側広筋の弾性率はシューズ着用群においてランニング後に有意に高値を示した。腓骨筋群の弾性率はシューズ非着用群においてランニング後に有意に高値を示した。シューズ着用の有無にかかわらず、ランニングによって後脛骨筋が特にストレスを受け、シューズ着用の有無によってストレスを受ける筋が異なることが示唆された。本結果を第74回日本体力医学会学術集会にて発表を行った。また、本結果を論文化したものを国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度末に予定していた実験が新型コロナウイルスへの対応により中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次のステップとして、長趾屈筋への選択的ストレッチングがランニングにおける足部内在筋と外在筋の相互作用に与える即時効果を検討する。Medial Tibial Stress Syndrome(MTSS)既往者では非既往者と比較して長趾屈筋が硬く、MTSSを予防するためには長趾屈筋の張力を抑制し、そのはたらきを補助する筋の活動を促通することが必要と考えられる。足趾底屈筋は足関節をまたぐ外在筋と足関節を介さない内在筋によって構成されており、MTSSのリスク因子として挙げられる扁平足を有する者では足部内在筋の断面積が小さく、相互作用の影響により、代償的に外在筋が発達していることが示されている。骨格筋に対するスタティックストレッチングにより、即時的な筋柔軟性の改善とともに即時的な筋力低下が起こることが報告されている。したがって、長趾屈筋に対するスタティックストレッチングを行うことにより、筋柔軟性の獲得と筋力発揮の抑制を行うことによって、相互作用により足部内在筋の筋力発揮を促すことができると考えられる。 本研究について、ランニングにおける筋活動の大きさを評価する指標には、MRI T2強調画像におけるT2緩和時間を用いる。足部内在筋および外在筋のMRI T2強調画像測定プロトコル、および長趾屈筋のストレッチング装置を作成し、現在、本実験を実施中である。本研究成果について、本年度中の論文投稿を目指す。
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