2019 Fiscal Year Annual Research Report
白や黒を知覚する機序の解明―照明の推定という視点から―
Project/Area Number |
18J10062
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 勇輝 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 上方光源の仮定 / 明るさ知覚 / 心理物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で,「光は上から来る」という無意識の仮定が明るさ知覚に影響し,上向きの面は下向きの面よりも暗く見えるということを発見した。この照明環境に関する無意識の仮定は従来形状知覚の分野で論じられてきたものであり,物体の凹凸を知覚する際に照明仮定が影響することが古くから知られている(Ramachandran, 1988)。 今年度の研究では,明るさの知覚に影響する照明の仮定が,形状の知覚で論じられてきた照明仮定と同じ処理過程であるかどうかを調べた。形状知覚研究の知見からは,照明仮定処理の経験依存性や個人差など,高次性を示す知見が多く得られており(Adams et al., 2004; Andrews et al., 2013),明るさ知覚における照明仮定処理が,形状知覚同様に高次の処理に依存しているのかどうかを調べるために,本研究は有用であると考えられた。 先行研究を参考として,実験参加者が内的に保持している仮定照明の方向を算出する実験を行った。同一の参加者から,明るさ知覚において用いている仮定照明の方向と,形状知覚において用いている仮定照明の方向が算出された。実験の結果,形状知覚における仮定照明が大きく左にずれているという先行研究の知見が再現された一方で,明るさ知覚における仮定照明の方向にはほとんど左右のずれが見られなかった。このような方向の傾向の違いは,形状知覚・明るさ知覚における照明仮定処理の差異を表していると考えられた。 明るさ知覚が照明の仮定に影響を受けるという事実は未だ新しく,不明なことが多い。本研究からは,その過程が形状知覚とは異なるということが示された。ゆえに明るさ知覚における照明仮定処理について,経験との関連などが今後直接的に調べられていく必要があるだろう。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(6 results)