2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J10124
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
畑中 祐紀 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 曲げ加工 / 免震 / 履歴型ダンパー / 鋼材ダンパー / 変形性能 / 捩れ変形 / 地震応答性状 / 復元力モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,曲げ加工された鋼板を用いた免震構造用履歴型ダンパー(以下,曲げ鋼板ダンパー)を提案した.曲げ鋼板ダンパーは4枚の曲げ加工された同一形状の鋼板を十字形に重ねて構成する.また,ダンパー上下端は円形のプレートを介して免震層に接続する.曲げ鋼板ダンパーは加工性・繰返し変形性能にすぐれるという特徴を有する.平成30年度の研究成果を以下に述べる. 1.曲げ鋼板ダンパーの繰返し変形性能を把握するため,鋼板形状を主変数とする繰返し水平加力実験を実施した.実験結果から,初期剛性・降伏耐力・繰返し変形性能などダンパーの力学性状に及ぼす鋼板形状の影響を把握した.また,鋼板の伸びやすさを表す指標と,繰返し変形性能には相関が見られた.このことから,ダンパーの繰返し変形性能を向上する知見を得た. 2.曲げ鋼板ダンパーの力学性状に及ぼす水平2方向載荷の影響を検討するために,水平2方向載荷を想定した有限要素解析を実施した.曲げ鋼板ダンパーは面方向の剛性が高い鋼板から構成されるため,捩れ変形が生じにくく,塑性歪が鋼板全体に分布することが確認された.このことから,曲げ鋼板ダンパーは捩れ変形の悪影響をうけにくいと予想される. 3.上記1.で得られたダンパーの復元力特性・繰返し変形性能を用いて,曲げ鋼板ダンパーを適用した5層骨組規模の免震建物に対して地震応答解析を実施した.ダンパーを適量配置することで,免震層の応答変位・応答加速度が低減され,ダンパーの累積損傷度も十分小さいことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在まで繰返し水平加力実験・有限要素解析を実施して,曲げ鋼板ダンパーの繰返し変形性能に及ぼす鋼板形状の影響を把握した.また,水平2方向の変形を想定して,捩れ変形が塑性歪に及ぼす影響が少ないことを明らかにした.さらに,地震応答解析を実施して,ダンパーを適量配置することで,免震層の応答変位・応答加速度が低減され,ダンパーの累積損傷度も十分小さいことを確認した.以上の成果には令和元年度に実施を計画していた内容が含まれる.よって,達成度は当初の計画以上に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果から,以下のような新しい研究課題が明らかとなった. 1.昨年度実施した実験より,ダンパーの繰返し変形性能を向上する知見を得た.このことから,新しいダンパー形状に対して水平加力実験を実施し,その繰返し変形性能を検証する.具体的には,鋼種,ダンパー形状,載荷振幅,載荷方向を実験変数とする予定である.また,実験で検討できなったダンパー形状に対しても,有限要素解析を用いてその力学性状を検討する. 2.上記1.などで検討したダンパー形状の復元力特性をモデル化して地震応答解析を実施する.昨年度の解析結果と比較検討することで,ダンパー形状が地震応答性状に及ぼす影響を検討する. 3.曲げ鋼板ダンパーは大変形時に耐力が上昇する.このことから,免震層の過剰な変形を抑制することが期待される.この効果を検証するため,大変形時の復元力特性を明らかにする. 4.免震層は水平2方向に変形することから,免震部材には捩れ変形が加わることになる.しかし,曲げ鋼板ダンパーは捩れ変形が生じにくいという特徴を有するため,捩れ変形が繰返し変形性能に及ぼす影響は少ないと予想される.今後の研究では,昨年度検討した変数に加え,より幅広い変数(ダンパー形状や載荷履歴など)を検討する.
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Research Products
(12 results)