2018 Fiscal Year Annual Research Report
縦長開口が不規則に配置されたRC連層耐震壁の応力伝達機構の解明と性能評価法の構築
Project/Area Number |
18J10383
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
劉 虹 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 耐震壁 / 開口低減率 / FEM解析 / 静的増分解析 / 縦長開口連層耐震壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,縦長開口連層耐震壁の高精度な性能評価モデルを構築ことである。さらに,高精度な性能評価モデルに基づいて,縦長開口耐震壁の構造性能に及ぼす各パラメーター(開口位置、材料強度、部材配筋状況)の影響を考慮し得る,合理的で簡便かつ信用性の高い縦長開口耐震壁の耐力評価法を構築することである。 上記の目的を達成するため,2018年度は2016年度に実施した構造実験を対象にして二次元FEM解析を行い,破壊性状および変形性能を再現できる高精度な解析モデル化および材料構成則を確立した。この解析モデルに基づいて,開口位置、コンクリート強度、梁型、部材配筋を変数としたパラメーター解析を実施し,縦長開口耐震壁の構造性能に及ぼす各パラメーターの影響を把握した。この解析結果を基に,2019年度を実施する予定の実験変数を確定した。 また,これまでの研究では,FEM解析を用いて縦長開口が規則的に配置された耐震壁の基本的な構造性能を把握した。しかし,FEM解析が煩雑で解析時間も多く必要であることから実用性が低く,より実用的な解析方法の確立が課題として残っていた。そこで、壁高さ方向に連続する縦長開口耐震壁試験体を対象に,実務レベルでの構造解析も想定し,耐震壁ではなく,開口によって分割された梁部材および壁部材ごとでモデル化し,静的増分解析を実施した。実験と解析の比較を通してその妥当性について検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の1年目は、既往で実施した壁高さ方向に連続する縦長開口耐震壁の実験結果およびFEM解析結果を元に,開口の大きさと配置、梁型および部材配筋などを変数としたパラメーター解析を実施し,縦長開口耐震壁の破壊形式および内部応力状態から各変数の影響を検討した。この成果により,2年目を実施する載荷実験を計画する。さらに,縦長開口耐震壁の性能評価の準備ができた。 また,一般的な構造設計で利用可能な解析方法として,縦長開口耐震壁の破壊が縦長開口に隣接する壁脚部および壁高さ方向に連続する開口間の水平部材(一般に梁)において見られることに着目し,これらを線材により置換するマクロモデルを提案し,その有効性を検証した。とくに壁脚部のみでなく梁においても軸力の発生が実験的に確認されていたことを考慮して,曲げと軸力の相関を考慮したモデル化方法を提案した点に本研究のオリジナリティを指摘できる。 以上より,当初の研究計画を鑑みて,本研究は概ね順調に進展していると思います
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Strategy for Future Research Activity |
(1)一年目で実施した縦長開口耐震壁のパラメーター解析結果を元に,実験変数を確定し,今年8月から9月の間に縦長開口耐震壁試験体の静的載荷実験を実施する。実験変数は開口高さおよび個数とし,両試験体においてRC規準で示された縦長開口低減率の値が同じである開口配置を想定した試験体を計画している。また,これまでの縦長開口耐震壁実験はせん断破壊型耐震壁試験体を対象に実施したが,今回では柱主筋を変数とした曲げ破壊型試験体を一体計画する。 (3)これまでのFEM解析および構造実験の結果から,縦長開口耐震壁の耐力評価法の構築に資する基礎資料の整備を行い,縦長開口連層耐震壁の耐力評価法を構築する。また,より精確な縦長開口低減率を定める評価指標の枠組を修正し,日本建築学会構造系論文集を中心に結果を発表し,海外に向けて論文を発表する。最後に大阪大学の博士論文として取りまとめる。
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