2018 Fiscal Year Annual Research Report
節足動物媒介性病原体におけるベクター感染成立機構に関する研究
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18J10448
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
曽賀 晃 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 節足動物 / マラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は獣医学・医学領域で重要な問題となっているベクター媒介性原虫疾患に着目し、マウスマラリア原虫-ハマダラカ媒介系を用いて同定したベクター媒介性関連遺伝子群について、その機能メカニズムの詳細を効率的遺伝子ノックアウト(KO)原虫作製法の応用により解析し、病原体のベクター感染メカニズムを明らかにすることを目指すものである。 初年度である本年度は研究の基底速度を向上すべく、これまでに確立したin vitro薬剤選択法の改良に中心的に取り組んだ。これまでの方法では、マーカー発現に高活性型プロモーターのみの使用が可能であり、汎用性が低いことに加え、手技が複雑であるとの難点もあった。まず代替プロモーターの使用検討を行った。その結果、マーカーのコドン最適化により、最も汎用されるpbef-1αプロモーターの使用に成功した。今後本法の応用により、より目的に応じたマーカー発現が可能になるものと考えられる。 次に選択手技の簡略化を目的に、連続培養法の適用を試みた。機械的赤血球膜破壊による連続培養法を新規開発し、薬剤選択へ適用した。その結果、薬剤存在下2細胞周期連続培養により、目的変異体を90%以上に濃縮することに成功、連続培養法を用いた新たな薬剤選択法のモデル開発に成功した。また本法は最短11日でのKO原虫の選択を可能にするとともに、使用感染マウス数を半減するなど、KO原虫作製の低コスト化を可能にするものであった。 さらに上記実験手法を用い、ベクター媒介性関連候補遺伝子群について機能解析を実施した。約10のベクター感染性関連候補遺伝子についてKO原虫を作製し表現型解析を実施した。その結果、pbrbp1のKO原虫では、赤血球ステージ増殖に差はないものの、生殖母体形成数が有為に低下しており、ベクター感染に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通りこれまでに確立した効率的KO原虫作製法の改良に成功するとともに、ベクター感染に重要な新規遺伝子としてpbrbp1の同定にしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後pbrbp1についてベクターへの感染表現型の詳細解析を進めるとともに、RNA-seq・RIP-seq等によりpbrbp1の標的遺伝子の探索、その機能解析により生殖母体形成における役割の詳細を明らかにすることを試みる。また残りのベクター媒介性関連候補遺伝子群について順次KO原虫の作製・分離、感染表現型解析により、その機能を明らかにすることを目指す。
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