2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on three dimensional cloud structure and cloud microphysical process using satellite-based passive and active sensors
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18J10606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 直也 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 雲 / 大気海洋相互作用 / 北太平洋 / 熱帯太平洋 / 放射 / 雲物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
雲は地球表層のエネルギー収支・水循環を決める上で重要な役割を担う.また,大気や海洋と複雑に相互作用しており,関連する物理プロセス・メカニズムの定量的な評価が求められている.特に,雲の放射効果を介した雲特性および雲の3次元的な分布と海面水温の相互作用について,熱帯から中緯度にかけて幅広く,衛星観測データを用いて物理的なプロセスを解明することを本研究の目的としている.
(1) 熱帯における対流雲と派生するカナトコ雲の3次元的分布と海面水温の関係について,能動型測器を用いて解明した.従来は雲レーダーのみを用いていたが,ライダーを複合的に利用することで,光学的に薄い雲の実態を把握することができた.また,有効半径や雲氷量などの雲微物理特性の3次元的な分布および海面水温依存性も評価した.これは研究計画1年目の前期に沿うものであり,成果は学会にて発表されている. (2) 夏季北太平洋において特徴的な海面水温前線と下層雲の関係を,季節変動・経年変動・北太平洋東部と西部の違いなど様々な時空間スケールに着目して衛星観測データ解析を行った.下層雲変動に伴う海洋亜表層の変動も評価し,大気海洋相互作用についても考察を行った.本成果は論文に投稿中である. (3) (2)と関連した内容として,短時間スケールでの下層雲変動の実態把握とメカニズムの理解を目的とした解析も行った.衛星観測日平均データおよび大気再解析データを用いることで,下層雲の短周期変動とそれに伴う水蒸気場・相対湿度場の変動が明らかとなった.本成果は投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で1年目前期に行うことを予定していた対流雲の解析は前年度から順調に進行し,学会発表も行った。また,1年目の後期は、衛星観測データとアルゴフロートを利用して下層雲と海面水温との関係を評価し,論文を投稿した.さらに,下層雲の変動メカニズムの成果も同時に得ることができ,論文も投稿準備中であることから,概ね計画通り順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の前期は,1年目に引き続き,時間差を考慮した下層雲と海面水温の詳細な関係を解明するため,より長期の変動について解析を行う.また,1年目に得られた下層雲変動のメカニズムの詳細を数値モデルを用いて検証する予定である.
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