2018 Fiscal Year Annual Research Report
熱画像と音情報を用いる機械学習アプローチによる豚のためのヘルスケア実現
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18J10715
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
味藤 未冴来 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 呼吸器感染症 / ブタインフルエンザ / 音響イベント / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
サーモグラフィ・マイクロフォン・可視カメラを用いて,豚舎内において長期連続収録可能な測定系を構築した。共同研究を行っている国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構にて,豚への感染実験を行い,構築した測定系を用い,感染開始から約2週間程度の長期連続収録を行った。実験では特定病原体不在豚を用い,呼吸器感染症としては一例として豚インフルエンザを対象とした。感染実験においては,インフルエンザウイルスを感染させなせないコントロール群と,感染させた感染群3種の測定を行った。感染指標となるくしゃみ音は,30kHz以上の高い周波数帯に特徴を持つことが報告されているため,100kHzもの高いサンプリング周波数で収録を行った。音響イベント分類器構築における学習・評価のために,観測者により正解を判断するラベル割当てを行ったデータセットが一定サンプル必要となるが,長期収録を行っているため,ラベル割当てのコストは非常に膨大となる。このため,収録した音信号から,くしゃみ音の周波数特徴を有する音響イベントの自動検出および,対応する動画像を自動提示することで効率的なラベル割当てを実施し,感染実験によって得られた音響イベントデータセットを構築した。構築したデータセット中のくしゃみ音の特性を考慮し,これらを少数次元で表現可能な音響特徴量を設計し,機械学習に基づく分類手法であるSVM(Support Vector Machine)を利用した認識器を用いることで,収録した音響イベントから感染指標であるくしゃみ音の高精度な自動分類を可能とした。また,構築した分類器の分類精度が,教師データ収録環境に依存しにくいものであることを確認した。さらに,異なるインフルエンザウイルスを感染させた場合の感染実験についても実施し,同様に長期連続収録を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初の予定通り,呼吸器感染症の一例として,ブタインフルエンザウイルスへの感染実験を実施し,豚舎内にて長期連続収録を行った。また,音響イベントについては,当初想定した数より非常に多い,十数万ものサンプルが検出されたため,音響イベント分類器の学習・評価に必要な一定サンプルについて,観測者により行うラベル割当ての効率化を行った。これによって得られたデータセットを用いて,感染指標であるくしゃみ音の自動検出を可能とした。また,構築した検出器は,教師データ収録環境に依存しにくいことを示した。学習には,感染・非感染問わず収集したくしゃみを用いているため,構築したくしゃみ検出器は全群の音響イベント全サンプルの自動解析を実施可能となった。 感染実験を行った豚舎は,感染群ごとに隔離されており,さらに各豚ごとに区切られた豚房で飼育されたため,マイクロフォンアレイによって指向性を高めずとも各群ごとに音信号を収録可能であった。よって,当初収録のために準備した複数マイクロフォンには,各豚の音信号が収録しやすいように各豚の近傍に配置し,音響イベント見逃しが起こりにくいようにした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度までに収録された感染実験の大規模データに関して,構築された感染症状の自動検出器を用いて感染症状の可視化を試みる。加えて感染症状を入力とした感染判別器構築を図る。加えて感染症判別器を用いて,呼吸器感染症の早期発見試験を実施する。
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Research Products
(4 results)