2018 Fiscal Year Annual Research Report
Acceptance and Historical Transition of Unorganized Image Culture before World War II (Magic Lantern, Toy Film, Cine Film)
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18J10887
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福島 可奈子 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | フランスと日本の小型映画産業 / パテ・ベビー9ミリ半映画 / コダック16ミリ映画 / 家庭娯楽映画と学校教育映画 / 大阪毎日新聞社と朝日新聞社の映画事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間1年目の昨年度は査読付き論文を3本投稿し、すべて掲載されるに至った(ただし、『映像学』第101号掲載論文の内容は一昨年度のテーマを継続発展させたもの)。また学会での口頭発表を2回、国際フォーラムでの口頭発表を1回おこなった。 研究内容における成果としては、大きく3点の新知見を発見して、以下の研究論文にまとめた。 一つめは、これまで邦語文献または英米文献中心で十分検証されてこなかった、フランスの「パテ・ベビー」販売元パテ・シネマ社の、第一次世界大戦前後のフィルム生産事業とその現像・機器技術について、報告者が昨年フランス留学した際に調査収集し同国における先行研究を十分に精査した。その上で日本への輸入経緯など、日本独自の事情もあわせて分析をおこなった。この内容は、日本映画学会第14回大会で口頭発表をおこなった。 二つめに、関東大震災後の関西圏で発売を開始したパテ・ベビー9ミリ半映画(伴野商店)とコダック16ミリ映画(深田商会)の家庭娯楽向け事業について調査した。そして従来は詳細に語られなかった二大新聞社(朝日新聞社[9ミリ半]、大阪毎日新聞社[16ミリ])との関係を、パテ・ベビー専門誌『ベビーキネマ』『パテーシネ』やパンフレット等の一次資料に基づいて具体的に論じ、日韓次世代学術フォーラム『次世代人文社会研究』に投稿して同誌第15号に掲載された。 三つめに、先行研究では大阪毎日新聞社の教育映画事業は知られていたが、その傘下で実際にどのような小型映画事業がおこなわれていたかは未知であった。そこで大毎の映像技術を長年支えた老舗の寺田商店(35ミリ、16ミリ)と、遅れて参入する伴野商店(9.5ミリ)の対照的な「教育映画」戦略とその経過について検証し、神戸大学国際文化学研究科『国際文化学』に投稿して第32号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度10月に提出を計画した博士論文が、当初予定より7か月早い昨年度3月末にまとまり、4月におこなわれた学内審査を無事に合格した。しかしその際、審査員から論文の不十分な点がいくつか指摘されたため、来年1月の最終審査に向けて、現在修正と追加調査・補足をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究としては、博士論文の弱点をさらに補強するため、これまで記述が不十分であった19世紀末の過渡的な光学玩具や国産9ミリ半映像機器の多様性と、それらの特徴をさらに掘り下げる予定である。また明治から大正期の幻燈における西洋との対比をおこなうため、膨大な幻燈コレクションとその歴史について記述しているシネマテーク・フランセーズのコレクションブックのフランス語翻訳と内容分析を進めていく。
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Research Products
(7 results)