2018 Fiscal Year Annual Research Report
無人航空機のロバスト化に向けたプラズマアクチュエータによる流れの時空間的能動制御
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18J11195
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 慎太郎 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 気流制御 / 大気圧放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマアクチュエータの無人航空機への実装を目的として、本年度は低電圧で駆動可能なプラズマアクチュエータの原理実証に成功した。従来のプラズマアクチュエータでは、小型無人航空機が飛行する速度域(30 m/s 程度)において気流制御効果を発揮するためには数十 kV 以上の印加電圧が必要であり、高圧電源の使用が不可欠であった。本研究では、従来は単一で用いられていた2枚の電極で1組のプラズマアクチュエータを小型化し、それを多数並べることで駆動電圧を大幅に低減する手法を考案した。プラズマアクチュエータを小型化すると、生成可能な電気流体力は減少するが、駆動電圧を下げることが可能になる。そして、小型化したプラズマアクチュエータを1つの素子として捉え、集積化することで、全体で大きな電気流体力を生成できることを示した。 本研究では、誘電体表面の電荷の挙動に着目し、電気流体力の生成に適した印加電圧波形および電極配置について検討し、従来手法ではプラズマアクチュエータ素子同士が性能を弱め合っていたことに対して、むしろ強め合う効果を発現することを数値シミュレーションおよび実験によって示した。 印加電圧波形に関しては、一般的に用いられている正弦波電圧ではなく、DC 重畳された繰り返しナノ秒パルスを採用した。この波形では、DC 電圧によって荷電粒子を加速し、ナノ秒パルスによって荷電粒子を生成できるため、電気流体力の生成に適した波形であると考えられる。 また、電極配置についても工夫することで電気流体力は常に主流と同じ方向に生成され、さらに、下流側の隣りのプラズマアクチュエータ素子の上部電極が誘電体表面の電荷を吸収する役割を担うため、誘電体による電場遮蔽効果を弱めることができ、電場強度が増大することで電気流体力を強化することが可能になることを発見した。 現在は実用的な駆動電圧まで下げる研究に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画の通り、従来よりも大幅に低い電圧で駆動可能なプラズマアクチュエータの原理実証に成功した。さらに、申請者が提案した手法を採用することで、駆動電圧を下げるだけでなく、プラズマアクチュエータ素子を広範囲に密に配置することが可能になる。従来は単一素子を用いて局所的に気流制御を試みていたことに対して、多数の素子を組み合わせる本手法は各素子を独立に制御することで、緻密な気流パターンの生成も可能になり、気流制御対象に応じて電極パターンを最適化することであらゆる流体機器の性能向上が期待できる。 以上より、今年度に申請した手法は申請時の想定よりも応用範囲が広がり、また実用化に向けて大きく進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、実用可能な駆動電圧まで下げるために、微細加工技術等を用いることでプラズマアクチュエータ素子の更なる微細化・高集積化を進め、従来のプラズマアクチュエータと同程度以上の性能を発揮できることの実証を行う。 数百ボルトの駆動電圧で剥離制御に足る性能を実証した後には、本研究の目標である小型無人航空機への実装に向けて、バッテリで駆動可能な小型で軽量な電源システムを開発する。そして、模型飛行機に搭載し、飛行試験を行うことで、プラズマアクチュエータの実装によって強風などの外乱がある場合においても安定して飛行可能な小型無人航空機が実現可能であることを示す予定である。
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Research Products
(12 results)