2018 Fiscal Year Annual Research Report
ネオ・ラテン叙事詩における伝統の形象化~ファーマ、エクフラシス、光
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18J11395
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
上月 翔太 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ネオ・ラテン / ファーマ / エクフラシス / ヴィーダ / 神話 / 叙事詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヴィーダ『キリスト物語』の検討の最終段階が今年度の主たる取り組みになった。 本研究においてキーワードとして挙げたエクフラシスと光の関係性について、叙事詩文学の創作、鑑賞の議論に接続することを目指した論文を発表した。この研究によって古代ラテン語文学がキリスト教主題をいかに扱ってきたのかについて興味深い実例を叙事詩文学史への目配せを行いながら提示することができた。それと同時にヴィーダの叙事詩創作の実践が当時の多くの詩作の例に漏れず、レトリックとの関係についても検討されるべき必要性が明らかになった。このレトリックもまた本作のキリスト教主題に深くかかわっていると想定される。今後はこの『キリスト物語』論を一つの到達点として、そこに至る叙事詩文学の変遷を詩学の伝統との関りから描くことを次のステップとして試みたい。 一方で古代ラテン語文学からヴィーダをはじめとしたネオ・ラテン文学に至る過程を通時的に捉える試みにも今年度は注力した。このラテン叙事詩文学の整理について口頭での研究発表を行った。そこでは特に「歴史」「神話」「宗教」の三つの観点から、民族や言語、文化の異なる複数の他者が古代ラテン語叙事詩文学の形式の中に「接続」されていく状況を描きだすことを試みた。こうした展開は西洋文学の枠を超えアジアにも類似した動きが認められることから、ラテン語文学を通じて世界的な文化動向の理解に至る点で公益性を有する研究であると考える。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)