2019 Fiscal Year Annual Research Report
深い思考を促す宿題の効果とその規定因の検討:可変的な個人差への介入を見据えて
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18J11485
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 絵梨子 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 宿題 / 深い理解 / 意味理解 / 学習方略 / 学習サイクル / 数学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自立的で深い学びを実現する上で,授業のみならず家庭学習も含めた学習サイクル全体の改善が必要とされる。そこで本研究課題では,教師の課す「宿題」が果たしうる役割や,その効果的な指導法に関する検討を行った。前年度までの研究により,心理学的に有効とされる学び方(意味理解やメタ認知的モニタリング)の使用を促す宿題の設計や,授業中の学習活動(ペアでの教えあい)との連動が効果的であることが示唆された。一方で,こうした宿題指導の有効性や実装可能性について,教師の理解が十分に得られていないという問題が残されていた。 以上の問題を受け,本年度は特に数学における意味理解に焦点を当て,教師の理解が得られにくい原因やその克服方法についての検討を行った。はじめに,数学の意味理解を直接的に問う課題を作成し,その課題を用いた調査を行うことで,生徒の実態と教師による予測とのズレを分析した(研究1)。その結果,極めて基礎的な用語の理解や図式的表現につまずきが見られるにもかかわらず,教師がそうした生徒の実態を十分に把握できていないことが明らかになった。また,本調査に参加した教師らに対するインタビューから,本調査で用いたような課題を活用することで,生徒の理解状態に関する認識が修正され,日常的な教育場面における指導のあり方についても改善の必要性を感じるきっかけとなることが示唆された。 次に,研究1で得られた知見に基づき,現実の学校現場での実践研究を行った。現職の教師との共同的な実践を通じて,数学における意味理解を促す宿題はいかにして実現可能か,また,教師自身がその有効性を実感し適切な課題を設計するに至るまでのプロセスとはどのようなものかについて検討を行った。本研究は現在も継続実施中であるが,心理学研究者と教師との間での有効な共同研究のあり方やそれが実践にもたらす影響などについて,一定の示唆が得られつつある。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)