2018 Fiscal Year Annual Research Report
高時空間光学計測によるメタンハイドレート界面現象解明と天然ガス高効率生産への応用
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18J11520
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神田 雄貴 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / 解離現象 / 熱物質輸送 / 相界面 / 光学計測 / 干渉計 / 反応速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海洋メタンハイドレート貯留層からの天然ガス高効率生産および増産に向けた、メタンハイドレート解離メカニズムの解明と、高確度なメタン生産量の推定を実現する解離現象のモデル化を最終目標としている。 前述の最終目標を達成するためには、メタンハイドレート生成および解離手法の確立、および界面近傍での非定常密度変化の定量計測や反応速度の評価が不可欠となる。そこで本研究では、気体の高精度温度圧力制御によるメタンハイドレート生成および解離手法の構築、高速位相シフト干渉計を用いたメタンハイドレート界面近傍での非定常密度変化の定量計測、また化学反応モデルを用いた解離現象の律速過程の評価を行った。 気体の高精度温度圧力制御については、ペルチェモジュールおよびシリンジポンプを用いた実験装置を構築することにより、反応容器内の温度および圧力の制御を実現し、メタンハイドレートの安定した生成および解離を実現した。 メタンハイドレートは、気体の減圧により分解させ、解離したメタンによる濃度変化を、独自の計測技術である高速位相シフト干渉計を用いて、μmおよびmsの高時空間解像度で非接触計測することに成功した。計測の結果、メタンハイドレート界面近傍において、密度変化が生じたこと明らかにし、本計測においてメタンハイドレート界面近傍における非定常熱物質輸送の定量計測を達成したといえる。 また、熱物質輸送および解離の反応速度を考慮した化学反応モデルを構築し、解離現象における活性化エネルギーをパラメータとして、実験で得た密度変化の比較検討を行った。比較の結果、解離現象は拡散律速でなく、反応律速に近い状態で生じる可能性を示した。以上より、高速位相シフト干渉計による計測および、化学反応モデルによる評価を達成し、解離現象の律速過程の評価を可能としたことは重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、メタンハイドレート解離メカニズムの解明と解離現象のモデル化に向け、気体の高精度温度圧力制御によるメタンハイドレート生成および解離手法の構築を行った。本年度当初に予定していた加熱によるメタンハイドレート分解実験は、温度変化の高速制御が困難であることや、加熱による気相密度の乱れが干渉計での計測を困難にすることから実施できなかった。しかしながら、減圧による実験手法の確立および、高速位相シフト干渉計を用いたメタンハイドレート界面近傍での非定常密度変化の定量計測に成功した。また化学反応モデルを用いた解離現象におけるメタンハイドレート界面近傍の非定常熱物質輸送および律速過程の評価を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度達成したメタンハイドレート界面近傍での非定常熱物質輸送の計測結果および律速過程の評価手法を用いて、メタンハイドレート解離メカニズムの解明と、高確度なメタン生産量の推定を実現する解離現象のモデル構築を目指す。 本年度構築した化学反応モデルにおいては、界面形状や気体のフガシティ変化など、実験における物理現象を評価できていない点がある。そこで定性観察によるメタンハイドレート界面形状の変化の評価や、化学の知識を融合したデータ解析を行うことで、化学反応モデルの改良を行う予定である。
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Research Products
(8 results)