2018 Fiscal Year Annual Research Report
Intravital imaging revealing immune evasion in leukemia cells within bone marrow cavity in situ
Project/Area Number |
18J11550
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 英里華 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 生体イメージング / 腫瘍免疫 / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から生体骨髄において白血病細胞の動きとCTLによる免疫応答との間に密接な関係が示唆される結果を得ていた。そこで、本研究では生体イメージング技術を応用し、骨髄内での白血病細胞・細胞傷害性T細胞(CTL)・骨髄微小環境を構成する細胞の動態を可視化・解析することで、将来的に骨髄nicheを介した免疫逃避機構を解明するための基盤情報の確立を目指している。この目的を達成するため、本年度において白血病細胞の動きがCTLによる免疫応答に与える影響を詳細な解析を計画し、研究を進めた。 はじめに、動きを制御するターゲット分子として、細胞骨格を介して細胞の動きを制御しているシグナル分子に注目した。はじめに恒常的にターゲット分子をノックダウンし、それらの白血病細胞株では細胞の動きが止まり、細胞死誘導される細胞数が減少した。この結果から、着目した分子がCTLによる免疫応答の違いを生む白血病細胞の動きの制御に重要であることが明らかとなった。 次に、白血病細胞の動きが異なることがなぜCTLの免疫応答の変化をもたらすのかを明らかにするため、白血病細胞のアクチン骨格がCTLによる認識に与える影響を確認した。その結果、動きのある白血病細胞の後縁にはアクチンが集積しており、CTLが長時間接触していることを発見した。反対に、動きのない白血病細胞ではアクチンの集積は見られず、CTLは短時間の接触しかみられなかった。白血病細胞の後縁部には特定のタンパク質が集積していることも明らかになり、これらの結果から特定のタンパク質の集積がCTLによる白血病細胞の排除機構に重要な役割を担う可能性が示唆された。 本年度明らかになった白血病細胞の動きとCTLによる免疫応答の関係については、結果を取りまとめ、随時学会にて発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄nicheを介した免疫逃避機構の解明を目指し、本年度において主に生体骨髄内での白血病細胞の動きと細胞傷害性T細胞(CTL)による免疫応答との関係についての研究を進め、以下の結果を得られたため概ね順調に進展していると判断した。 細胞骨格を介して細胞の動きを制御するシグナル分子がCTLによる免疫応答の違いを生む白血病細胞の動きの制御に重要であることをin vitroにて明らかにした。 当初の計画に加え、カルシウムインジケーターを発現する白血病細胞を樹立したことで、白血病細胞の排除にはCTLによる接触が長時間に及ぶ必要があることを発見した。また、アクチンが蛍光標識された白血病細胞株の樹立によって、動きのある白血病細胞の後縁はアクチンが集積しており、CTLが長時間接触していることを発見した。白血病細胞の後縁部には特定のタンパク質が集積していることも新たに明らかにし、その集積がCTLによる白血病細胞の排除機構に重要な役割を担う可能性が示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
はじめに、integrin-RhoA-ROCKシグナルがCTLによる免疫応答の違いを生む白血病細胞の動きの制御に重要であることをin vivoにて明らかにする。具体的には周囲の細胞や骨髄nicheへ影響を与えず、骨髄に生着した白血病細胞の動きのみを限定的に制御できるシステムを確立するため、テトラサイクリン発現誘導システムを用いて動きが抑制される白血病細胞株を樹立する。樹立した細胞を用い、イメージング中に白血病細胞の動きのみを制御して、CTLによる免疫応答の変化を解析する。 次に、生体内での骨髄nicheとの相互作用が免疫反応にどのような影響を与え、白血病細胞を免疫逃避へと誘導するのかを明らかにする。具体的には、これまで申請者が確立した骨髄での免疫反応のイメージング系を骨髄niche細胞が蛍光標識された遺伝子改変マウスに応用し、骨髄nicheを介した免疫逃避の過程を観察する。 得られた結果は随時国際学会で発表する。
|
Research Products
(5 results)