2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18J11551
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山川 真由 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 創造的問題解決 / 共通点の探索 / 固定的な見方の解消 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は共通点の探索が固定的な見方の解消に有効であることを検討する2つの研究を行った。 研究1では,関連性の低い2つの対象間における共通点の探索によって対象の固定的な見方の解消が促進されるかを検討した。対象の特徴を探索する課題を用いて,思いつきにくい特徴を挙げられることをもって固定的な見方が解消されるとみなした。2つの対象間に共通する特徴を探索する条件(以下,共通点探索条件)と,1つの対象の特徴を挙げる条件(単一特徴条件)を設けて,記述される特徴(以下,特徴語)と挙げた特徴をもつ別の事物(以下,連想語)を列挙する課題を行い,記述される内容の思いつきやすさの比較を行った。特徴語は単一特徴条件に比べて共通点探索条件の思いつきやすさが低く,共通点の探索によって思いつきにくい特徴への着目がなされることが示された。 研究2では,共通点を探索による固定的な見方の解消を別のアプローチから検討した。具体的には,固定的な見方の解消,すなわち,物事の目立たない特徴への着目が促進されるのであれば,共通するプロセスを有する別の課題との間に相関関係が見られると予想した。共通点探索課題と類似したプロセスを有すると考えられる課題として,カテゴリ列挙課題との関連を検討した。実験参加者による共通点探索課題およびカテゴリ列挙課題の回答数の相関係数を算出したところ,有意な正の相関が見られた。この結果は,共通点発見課題において共通点を多く列挙できる人ほど,カテゴリ列挙課題においてもカテゴリを多く列挙できることを示している。このことから,共通点探索課題とカテゴリ列挙課題は,目立たない特徴への着目を共通するプロセスとして有していることが示唆された。 これら2つの研究から,共通点の探索が固定的な見方の解消につながることを示唆する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,固定的な見方の解消による創造的アイデア生成の促進を検討する予定であったが,その背景にある認知プロセスとして,物事の目立たない特徴に着目することが重要であることを確認しておくことが必要であると判断し,そのための2つの研究を優先して行った。これら2つの研究により,関連性の低い2つの対象間の共通点の探索により,対象の目立たない特徴への着目が促進されることが確認できた。このことから,当初の予定からは一部変更があったものの,関連性の低い2つの対象間の共通点の探索が創造的アイデア生成に有効であることを裏付ける知見を得ることができたため,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に本年度得られた2つの研究の成果を論文化する。第2に,固定的な見方の解消による創造的アイデア生成の促進について検討するための実験を実施し,分析等を進める。第3に,固定的な見方の解消が失敗などのネガティブな出来事の捉え方の変容に及ぼす影響を検討するための実験の準備および実施を進める。
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Research Products
(3 results)