2018 Fiscal Year Annual Research Report
高校生の専攻分野選択のメカニズムに関する実証的研究
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18J11806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
豊永 耕平 東京大学, 東京大学大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 高校生 / 進路選択 / 専攻分野選択 / 親子調査 / 学歴 / 社会階層 / SSM調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高校生の進路選択・専攻分野選択のメカニズムを解明することにある。そのため本年度は、全日制高校に在籍する高校1年生から高校3年生とその母親を対象とした郵送法を併用したインターネット調査を実施し、親子データの収集を行った【研究実績①】。さらに、データ収集と並行して、主として社会階層と社会移動全国調査(SSM調査)データを用いた分析から、学歴・出身大学(学校歴)・出身学部(専攻分野)が人びとのキャリアにどのような影響をもたらしているのかを検証した【研究実績②】。こうした本年度の研究成果は、4つの学会発表と、2本の査読論文を通じて発表している。 進路選択に関する既存研究では、進路選択の主体として子どもを想定してきた。けれども親子ペアを対象に進路選択・専攻分野選択を調査した本年度の調査の結果、実際には子どもだけではなく親も進路選択に大きく関わっており、そのことが専攻分野選択や進路選択の出身階層差の原因になっていることが明らかになった【研究実績①】。この点は学会発表・論文執筆には至っていないが、次年度には成果を公表する予定である。 その一方で進路選択・専攻分野選択のメカニズムを議論する前段階として、高学歴化が進展する中で学歴・出身大学(学校歴)・出身学部(専攻分野)が人びとのキャリアにどのような影響をもたらしているのかの検証も行った。その結果、大卒学歴が社会経済的地位にもたらす影響は高学歴化が進む中でも依然として大きく、しかも出身大学の違いだけではなく、出身学部の違いも重要な役割を果たしていることが明らかになった。これらはすでに国内外の学会にて成果報告を行い、査読論文として発表している【研究実績②】。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、日本社会学会の機関誌『社会学評論』と日本教育社会学会の機関誌『教育社会学研究』に論文を掲載することができた。さらに本研究の研究成果を教育社会学会・数理社会学会で報告するとともに、Asia Pasific Sociological Associationでも成果を報告することで国内外の研究者から有益な助言を得た。本研究の遂行上で最も重要なデータの収集についても、高校1年生から高校3年生とその母親から回答を得ることができ、大きな偏りもないことを確認している。 けれども、質問紙調査のデータクリーニングに予想以上に時間を要したために、データの基礎集計作業・分析が若干遅れている。また次年度実施する親子インタビュー調査の打診作業も調査会社との協議が進展している最中であり、具体的なインタビュー調査の内容もさらに検討する必要がある。以上、当初の計画以上に進展した部分と、当初の計画より若干遅れている部分が両方あるという点から、「おおむね順調に進展している」との判断に至った
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は親子調査データの収集を問題なく完了することができ、大きな偏りがないことを確認できているが、本格的な分析・論文執筆には取り組めていない。したがって今後の課題は、収集した親子ペアデータの分析を進め、本研究の研究成果を国内外に広く発信することが第一である。また、2019年度は調査データに回答した親子の個票データに基づいて20ペアほどピックアップし、親子インタビュー調査を実施する予定である。こうしたインタビュー調査対象者の選定・打診を実施し、進路選択・専攻分野選択のメカニズムを子どもだけではなくその親も含めて明らかにしていくことが第二の課題となる。
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Research Products
(6 results)