2018 Fiscal Year Annual Research Report
Role of microglia on chronic pain accompanied by neural circuit reorganization
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18J11834
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平賀 慎一郎 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 中枢性脳卒中後疼痛 / アロディニア / 神経可塑性 / ミクログリア / 視床出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢性脳卒中後疼痛 (central post-stroke pain: CPSP)は、主に視床出血などで誘発され、軽度な触覚刺激に対して激しい痛み(アロディニア)が長期間持続する重篤な後遺症である。近年、臨床的および実験的観察に基づいて、CPSPの発症メカニズムを説明するために、神経間の異常なネットワーク形成や免疫細胞の役割が重要視されている。そこで本研究では、視床出血後の中枢神経回路障害におけるミクログリアの役割を解析し、CPSPの発症メカニズムを解明することを目指している。我々は、これまでの研究で、末梢組織からの感覚情報を大脳皮質に伝える一部の視床ニューロンでは回路再編が起こること、そして脳内の免疫細胞であるミクログリアの除去により回路再編と疼痛関連行動が生じないことを明らかにしてきた。本年度では、これらの結果に基づき、視床出血後のマウスの大脳皮質体性感覚野からRNAを抽出し、次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、ミクログリア由来の回路再編に関わる遺伝子を同定することができた。そして、脳内のミクログリアにおいて、同定した遺伝子がコードするタンパク質の発現をFlow cytometryにより解析したところ、出血後のマウスではそれらのタンパク質が増加していることを確認した。これらの実験結果は、視床出血後の疼痛関連行動や回路再編が認められる病態では、ミクログリアを介した分子メカニズムが寄与することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、体性感覚野におけるミクログリアをCell sorterにより単離し、回路再編を促す因子をReal-time PCRにより解析する予定であった。しかしながら、想定していたミクログリア由来の回路再編を促す遺伝子の発現が増加していなかったため、次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析を行った。その結果、ミクログリア由来の回路再編に関わる遺伝子の同定に至り、またそれらの遺伝子がコードするタンパク質の発現がミクログリアで増加していることを確認できたため、本年度における研究はほぼ計画通りに進めることができたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定したミクログリア由来の回路再編を促す候補遺伝子に焦点を当て、それらの遺伝子のノックダウンまたはノックアウトマウスを用いて出血後の回路再編における影響を検証すると共に、DREADD (Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs) システムを用いて疼痛関連行動における回路再編(視床ニューロン)の機能解析も進める。
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