2018 Fiscal Year Annual Research Report
The foreign policy of North Korea and Competitive diplomacy between North and South Korea in the Cold War Era.
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18J11852
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若杉 美奈子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 冷戦史 / 外交史 / 朝鮮半島 / 北朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究は主として海外文書館での資料調査に重点が置かれた。実施国は韓国の他、イラン、モンゴル、キューバ、インドネシア、マレーシア、インドの6カ国である。 具体的な研究実績として、学会及び研究会での発表は以下の4件であった(1)アジア政経学会2018年春季大会「1975 年における金日成 東欧・アフリカ訪問を通じた統一戦略 変容」 (於・学習院大学,2018年6月10日) [口頭・査読あり](2)東京大学大学院総合 文化研究科地域文化フォーラム「1975年における金日成 統一戦略に関する試論的考察」,(於・東京大学,2018年6月23日)[口頭・査読なし](3)東京大学KF冷戦史研究プロジェクト研究会, 「冷戦期における北朝鮮の脱陣営外交」,(於・学習院大学,2019年2月15日)(4) ”A study of influence and role of neutral countries over diplomatic competition between South and North Korea in 1975 ; A case study of India”, University of Delhi, Department of East Asian Studies, Faculty of Social Sciences, 5 March, 2019. 論文発表に関してはアジア政経学会での報告内容をもとに執筆した“Kim’s consensus building and change in diplomatic tactics following his international trips in 1975” to your journal, が現在North Korean Reviewで査読審査中である。この他、東京大学中東地域研究センターのニューズレター(『UTCMES(東京大学中東地域研究センター)ニューズレター』14号, p.7-9)に「イラン文書館研究調査報告」が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度計画に記載した調査研究は概ね遂行できた。韓国では1970年代前半の外交史料を入手したのに続き、イランで調査を実施した。イランでは北朝鮮関連外交文書の入手は困難であったが、韓国関連外交文書を入手することに成功した。続いて、モンゴルでの調査は、外交史料へのアクセスが外交官に限られており交渉に困難が伴った。キューバの調査では、同国が保有する外交文書には欠損が多く、史料番号が不明な文書も多いなどの問題点があったものの、予想以上の分量の史料にアクセスすることに成功した。キューバ史料の分析の過程で、漠然としていた1960年の外交政策の構造が明確になり、構成を一部修正した。 インドネシアでの研究調査は手続きが難航し、一度目の渡航ではほぼ手続きのみで終了したことから二回に渡る調査が必要となった。手続きに時間がかかる間、マレーシアの研究者と連絡を取り、マレーシアでの調査が実現したほか、同国の研究者と交流を図り意見交換をするなかで今年度予定している東南アジアにおける調査研究の見通しが立つなど、予想外の進展があった。インドネシアでの研究調査は平成30年度の二度目の調査で打ち切ることになった。インドでの調査は、事前に文書館との連絡が円滑に行われたことから予定通り遂行された。 研究報告に関しては、当初二回程度の発表を予定しており、平成30年度上半期の時点でこの目標を達成していたが、平成31年度に入り二度の報告の機会を得ることになった。そのうちの一回はインドのデリー大学での英語による報告であった。この報告は自身の研究者としての可能性を切り拓く上での貴重な経験となった。 このほか、当初和文論文として発表する予定であったアジア政経学会での報告論文を加筆修正した論文を翻訳し英文誌に投稿したことも、自身の研究の幅を広げるうえで貴重な経験となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.史料調査実施(2019年下半期):今年度の計画として4回に渡る史料調査を計画している。第一回調査(4月下旬から5月末):アルジェリア、モーリタニア、エジプトのほか可能であればレバノンの国立公文書館及び外交史料館で南北朝鮮の対第三世界外交の調査を実施する。同史料調査を実施する過程でフランスに史料がある可能性が浮上したため、第三回史料調査でフランスでの調査を追加する。第二回調査(7月から8月):ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、スリランカの外交史料館及び国立公文書館で北朝鮮の自主外交路線への転換過程の史料調査を実施する。第三回調査(9月中旬から11月):北朝鮮の対東欧外交の調査を主目的とし、フランス、スウェーデン、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア、セルビア、アルバニアの外交資料館及び国立公文書館での史料調査を行う。第四回調査(2020年3月)は1956年及び1984年のソ連の北朝鮮関連史料調査のため、ロシア外務省資料室での調査を計画している。 2.国内外における学会発表:学会等での発表に関しては、①5月末開催予定の日韓次世代学術フォーラムで「1975年における南北朝鮮の非同盟主要国に対する外交競争」というテーマで報告することが決定している。[査読あり]その後の計画としては①北朝鮮・ユーゴスラビア関係をまとめた発表を東欧史研究会で行う計画であるほか、②北朝鮮・キューバ関係をまとめた発表を関係学会で行う計画である。 3. 国内外の学会誌への論文投稿:上記「2. ①」に関する論文をセルビアの英文学術誌に発表する計画であるほか、「2. ②」に関する論文を国内の英文学術誌あるいは韓国語の学術誌のいずれかで発表する。 4. 博士論文執筆:これまでの研究成果をまとめ博士論文をまとめる作業に取り掛かる。
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