2018 Fiscal Year Annual Research Report
電磁超音波共鳴法を用いた炭素鋼配管減肉測定に関する研究
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18J11863
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
SUN HONGJUN 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 永久磁石の構造 / 小型電磁超音波探触子 / 基本共鳴周波数 / 2段階データ処理方法 / スペクトル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)原子力や火力発電所の炭素鋼配管は腐食により内面が粗くなる場合が多い。内面が粗い配管の測定点での厚さを高精度で測定するため、小型の電磁超音波探触子(EMAT)が望ましい。今年度は新しい永久磁石の構造を提案し、送受信信号を増幅する小型EMATを作製した。これまでの研究で構築されたEMATの二次元有限要素モデルをもとに、EMATの静磁場を計算する三次元有限要素モデルを構築した。有限要素解析により磁石の配置及びサイズ、コイルの種類及びサイズを計算し、磁石のリフトオフが大きくなるとともに、磁束密度が小さくなり、リフトオフの影響を受けやすいことが分かった。同じリフトオフでは、提案した構造は磁束密度を大きくすることが分かった。 (2)電磁超音波共鳴法は減肉のある試験片に適用する場合、SN比が小さいため、振幅スペクトルのピーク値を分離できない状況もある。それを解決するため、従来の研究では自己相関法(ACF法)とN周期加算法(SNC法)が提案されたが、本年度はN周期乗算法(MNC法)を提案し、ACF法とSNC法と一緒に炭素鋼傾斜試験片、実機配管減肉試験片等の測定に応用した。研究計画のARモデルの代わりに、2段階データ処理方法を提案し、基本共鳴周波数を特定した。 (3)信号処理方法の比較及び評価を行った。従来の方法では実機配管試験片の3.5 mm以下の部分に対する測定結果の精度が低くなるという問題点に対して、提案した2段階データ処理方法は測定の精度が高くなることが分かった。 (4)腐食された配管の内表面は粗い状態であるため、試験片の厚さの分布は不均一である。厚さ測定の探触子は大きさがあり、測定点のところの探触子下の厚さを測定する。したがって、今年度は超音波のパルスエコー法に対して、スペクトル分析法により、厚さ範囲の測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究計画通りに、有限要素解析により小型電磁超音波探触子(EMAT)を設計し、実際の探触子を作製した。実際のEMATの性能を評価した。その後、炭素鋼傾斜試験片と火力発電所の実機配管試験片に対して、電磁超音波共鳴法(EMAR)により測定し、基本共鳴周波数を特定した。研究計画のARモデルの代わりに、2段階データ処理方法を提案した。それは実際の場合には、提案した方法は計画のARモデルより実機配管試験片に適用するからである。また、実機配管試験片があったため、計画の平板試験片と円弧底面試験片の作製は要らなくなる。最後に、来年度の計画としての非均一試験片に対する信号の特徴の抽出も一部を行った。しかし、計画の論文はまだ投稿中であるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き配管減肉による非均一試験片に対する信号の特徴の抽出を行い、配管の不均一性の特徴を把握する。それに基づいて、配管減肉測定の高度化を目指す。また、来年度は研究成果をまとめ、論文や国内外の会議で成果発表する。
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