2018 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期における「二つの中国」と「二つのドイツ」をめぐる国際関係史
Project/Area Number |
18J12318
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邵 天澤 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 中独関係史 / 欧亜関係史 / 国際政治史 / 中国外交 / ドイツ外交 / 冷戦史 / 分断国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後中独関係の原点である「二つの中国」と「二つのドイツ」(中華人民共和国・中華民国〔台湾〕、ドイツ連邦共和国・ドイツ民主共和国)をめぐる国際関係がいかにイデオロギッシュな状態からプラグマティックに変容された過程を、マルチ・アーカイヴァルの手法を重視し、関係各国の史資料(外交文書をはじめとする公文書、関係者の回顧録など)に基づいた比較・解析により、実証的に明らかにすることである。
今年度の前半期は、国内外の研究機関や研究会で報告を行った。特に中国で滞在した際、専門分野の近い現地の研究者から指摘や意見をもらい自身の研究を客観視できた。冷戦期における中国と西独の関係を考察する際、中国・東独関係の変容は常に考慮しなければならない要素である。現地の新鋭研究者らの協力を得て中国、ドイツ、アメリカに於いてどのような研究が行われてきたのか整理した。夏季休暇を利用して台湾に渡り、台湾・西独関連の史資料調査を行うことを予定していたが、私事都合のため、該当研究計画を来年度に延期することにした。
今年度の秋以降は、研究指導委託制度を活用し、ドイツのベルリン自由大学歴史文化学部に在籍し、史資料の調査と収集を最重要課題と位置付けて研究活動に励んだ。その結果、中長期滞在の利点を活かして網羅的かつ詳細に史料調査を実施することができた。ベルリン市内だけで研究課題に関連する文書館は三つもあり、旧東独国家安全省史料館(BStU)、連邦公文書館(BA)、ドイツ外務省政治史料館(PAAA)をメインにして研究活動を展開した。そのほかにドイツ国内の各関連文書館も訪れることができた。以上のように精力的に史料調査活動を行った結果、博士論文執筆の上でさらに必要な史料群も明らかになり、本年度の研究活動で得た知見を、来年度の史資料調査に活かし博士論文を完成させたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で予定した台湾での在外研究を延期したものの、研究計画の中核となるドイツでの史資料調査活動を無事に実施することができた。予定していた史料館において史料収集が進められたことで、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまでと同じように、主に日本国外における継続的な史資料の調査と収集を行う。本年度は中国と東西ドイツの政治外交関係の展開と変容に注目して研究活動を展開したが、今後は冷戦期に同じく自由主義陣営に属した西独と台湾の関係の変容に着目して研究を進めていく。また、対中政策をめぐる西独と米国の協力関係についても考察する。そのため、台湾と米国に赴き、関連資料の収集・調査を行う。海外での史資料調査と並行し、国内外の二次文献と照らし合わせ分析を行い、博士論文の執筆に励む。
|
Research Products
(2 results)